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定冠詞の the が徐々に使われなくなる傾向

"Language Log ≫ The case of the disappearing determiners" という昨日(2016/01/03)のブログを読んでいたら、英語の定冠詞 the が年々使われなくなっているという驚くべき事実を知った。これを書いたのはマーク・リバマン氏 (Mark Liberman) というアメリカの言語学者。

Abecedarium latinum
Courtesy of Wikipedia.

ここ数世紀の傾向として英語で最も使用頻度が高い語が次第に使われなくなりつつある。データによれば、定冠詞 "THE" は明らかに使われなくなっている。100年で50%減少している事例もある。

THE はフォーマルではない書き言葉で数を減らし、話し言葉ではさらに減っている。ある分野では THE の減少はインフォーマルな方向へのより一般的な長期的傾向になっている。だが THE はスピーチでも減少しているらしい。つまり単に書き言葉のスタイルが話し言葉のそれに変化しているわけではないのだ。

Language Log ≫ The case of the disappearing determiners

こうしてマーク・リバマン氏は Google Books や Corpus of Historical American English などを調べあげ、定冠詞 the の出現頻度を以下のように具体的に出している。

American English @ Google Books
1900-1910年 - 5.98%
1990-2000年 - 4.99%
British English @ Google Books
1900-1910年 - 5.86%
1990-2000年 - 5.32%

これらの数字は Google Ngram Viewer というツールで導き出されたものらしい。統計学と数学は不案内なので n-gram なる概念については説明を省略する。

定冠詞 THE の減少

面白いのはアメリカ大統領の一般教書演説での the の出現頻度。以下がその数字。やはり徐々に数を減らしている。

SOTU (State of the Union Address)
1900-1910年 - 9.21%
2005-2015年 - 4.67%

もうひとつ興味深いのは同じ傾向がドイツ語とイタリア語とスペイン語とフランス語にも程度の差こそあれ見出せたこと。ただし英語と同じくゲルマン語族の言語であるドイツ語ではこの傾向が顕著であるものの、ロマンス語族の諸言語(イタリア語とスペイン語とフランス語)ではあまり減少していない。だとするとゲルマン諸語特有の現象だろうか? ただしインド・ヨーロッパ語の定冠詞にはジェンダー (gender) があるのが普通なのでジェンダーが消失した英語との比較には注意が必要。言語史的に考えると、定冠詞の減少はジェンダーの消失と何らかの形で関係しているのかもしれない。

…いや、どうだろう。わからない。全然わからない。

一体何が原因でこういうことが起きているのか? マーク・リバマン氏は以下の仮説を立てているがいずれも納得できる説明ではないことを自身が認めている。

  1. this, that, these, those のような他の限定詞による置き換え? しかしこれらの限定詞の多くもまた使用頻度が落ちている。増えている限定詞もあるが THE の減少を説明できるほど増えているわけではない。
  2. 「of 所有格」が減って「's 所有格」が増えた? 例: "The Y of the X" -> "The X's Y". この現象は実際に起きていることである。しかしこの構文は THE の減少を説明できるほど増えているわけではない。
  3. 代名詞による定冠詞の置き換え?
  4. 抽象名詞に関しては他の構文による置き換えが起きた? 例: "that's the reason" -> "that's why".
  5. 不定冠詞による定冠詞の置き換え?
  6. THE を必要としない所定量の情報を言い表す言い回しが増えた?

Language Log ≫ The case of the disappearing determiners

個人的にいくぶん納得できるのは #3 の「代名詞による定冠詞の置き換え」かな? この仮説を証明するには it, they, them などの出現頻度がどの程度上昇したかデータを出せばいいと思うんだけどね。

Google
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最近このblogに辿り着きました!
私はそんなに英語が使えなくて
英語の情報は得られないので
すごく興味深いです!
2016/01/09(土) 12:42:48 | URL | かにかま #-[edit]
コメントありがとうございます。
2016/01/09(土) 18:45:35 | URL | ArtSalt(管理人) #-[edit]
the の使用法が分からず、今、ネットで見つけた「冠詞に関する覚え書」という一連の解説を読んでいます。この中の第7~8話あたりに、「the A of B」の例文がたくさん載っているのですが、「えっ、これにも the を使うの?」と思われるもの (「the A」 となっているのに A が特定化されていないと思われる「the」) が散見されます。願わくは、こういった the が使われなくなっているのであればありがたいのですが・・・・。
2016/07/11(月) 11:06:30 | URL | nrhrhdys #-[edit]
このへんですか。
<冠詞に関する覚え書(8)> - ttp://www1.odn.ne.jp/xenom/kanshi.box/kanshi8.html

> The achievement of full democracy requires a willingness to suffer and fight.
> (完全な民主主義を達成するには苦しみ闘う覚悟が必要だ)

こういうのは確かに難しいと思います。自分なら無冠詞にしてしまいますね。まだまだ勉強が足りないと痛感しました。
2016/07/11(月) 19:54:13 | URL | ArtSalt(管理人) #-[edit]
時代の流れに合っているのかという疑念もありますが、「the (a) A of B」では、冠詞を付けるのが原則、付けないのが(少なくない)非原則と、まずは発想を転換しようと思っています。
2016/07/12(火) 08:54:53 | URL | nrhrhdys #-[edit]
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