ArtSaltのサイドストーリー

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Philip K. Dick の小説は簡単な英語で読みやすい

今日は英語の洋書の話を。英語学習クラスタがいつもお世話になっている出版社 MacMillan から出ている "Science Fiction Stories" というSF短編集を読んだ。紙の本。

  • Science Fiction Stories (MacMillan), ISBN 978-0-2307-1691-9

MacMillan の Science Fiction Stories

中身は以下のとおり。

  • We Can Remember It for You Wholesale / Philip K. Dick
  • A Sound of Thunder / Ray Bradbury
  • Travel Wire! / Arthur C. Clarke
  • The Martian Odyssey / Stanley G. Weinbaum
  • The Shadow and the Flash / Jack London

以下はそれぞれのあらすじと感想と英語の難易度。

We Can Remember It for You Wholesale / Philip K. Dick

あらすじ - 平凡な生活にうんざりしている主人公は Rekal 社を訪れ、「火星に行った」という偽の記憶を埋め込んでもらおうとしたが失敗する。彼は実際に諜報機関の工作員として火星に行っていたからだ。 Rekal 社から全額キャッシュバックを受けて帰宅した彼を待っていたのは諜報機関だった。彼らと話しているうちに彼は火星で暗殺活動をしていたことを思い出す。組織は彼の記憶を消していた。だが Rekal 社で火星旅行の記憶を作ってもらおうとしたことで彼は本物の記憶を偶然思い出してしまったわけだ。秘密が露見することを恐れた組織は主人公を殺そうとするが危機一髪で彼は逃れる。しかし最終的には組織と取り引きをする。主人公の記憶を消すために「幼少期にたった1人で地球外の知的生物による地球侵略を防いだ」という荒唐無稽で強力な偽の記憶を植え付けることになった。しかし意外な結末が待っていた…

感想 - 一番面白かったのがこれ。ストーリーが非常に素晴らしいんだよね。難しい英語表現があまりなく、短いセンテンスを繋げてゆくのがフィリップ・K・ディックのスタイルなのかな? 映画「トータル・リコール」の元になった小説らしい。映画は見たことがない。

英語の難易度 - 読みやすい。

A Sound of Thunder / Ray Bradbury

あらすじ - タイムマシーンに乗って恐竜の時代に行った主人公たち。ティラノサウルスを銃で仕留めた彼らは現代に戻って来る。しかし何かが変わっていた。見慣れた風景がほんの少しだけ変わっているのだ。主人公が当時の生態系を変えてしまい、その後の歴史も変化したらしい。一体何が原因だったのか。彼は靴底にこびり付いた泥を見て驚愕する。それは…

感想 - 有名なレイ・ブラッドベリーの短編。最後のオチが素晴らしい。ティラノサウルスの描写がやけに生々しいのは、彼が正しく恐竜のことを勉強していた証拠でしょう。

英語の難易度 - わりと読みやすい。

Travel Wire! / Arthur C. Clarke

(あらすじ省略)

感想 - 使っている単語は難しくないのに非常に読みにくい文章。途中で読むのを断念した。よってあらすじは書けない。

英語の難易度 - 難しかった。降参です。

The Martian Odyssey / Stanley G. Weinbaum

あらすじ - 火星で不思議な知的生物に遭遇した主人公。鳥の形に似たその知的生物と共に火星を探検することになる。炭素ではなくケイ素から構成される生物との戦いなどを繰り広げる。

感想 - SFというよりアドベンチャー小説かな。読み応えあり。

英語の難易度 - わりと読みやすい。

The Shadow and the Flash / Jack London

あらすじ - Lloyd と Paul は子どもの頃からライバル関係。勉強から恋愛まであらゆることで競い合ってきた。大学に進学し、化学で優秀な成績を得た両者はある日透明人間になる方法を巡って全く正反対の方法を唱える。 Lloyd は「完璧な暗黒」を、 Paul は「完璧な透明」を作り出そうとする。いずれも実験は成功し、透明になった彼らはテニスコートで殴り合いの対決を始める…

感想 - これを書いた Jack London は「野生の呼び声」「白い牙」などで有名な作家らしいけどオイラはよく知らないです。そもそもこの "The Shadow and the Flash" がSFに分類されるっていうのが理解できない。あえて言えば「青春小説」か? 面白いといえば面白い。

英語の難易度 - わりと読みやすい。

結論

フィリップ・K ・ディックの小説は本当に面白い。英語も非常にわかりやすい。なので脊髄反射的に彼の本を Kindle Store で買ってしまった。

Kindle で Paycheck を読んでいる場面

12本の短編からなる "Paycheck". 今これを Kindle で読んでいるところ。

英単語との出会いは異性との出会いに似ている

今回は英語学習で苦労している話を少し。以前 "ransom" という英単語を覚えた。完璧に記憶したつもりだった。二度と忘れないと確信していた。しかし覚えていなかったことが発覚した。どうすれば記憶は完全になるのだろうか。で、前から漠然と思っていることなんだけど、英単語との出会いは異性との出会いに似ているのではないかと。

 

具体的な話をしよう。最初に ransom (身代金、身代金と引き換えに人質を解放する) という単語を知ったのは以下のBBCの記事だ。

There are no records of how many men, women and children were enslaved, but it is possible to calculate roughly the number of fresh captives that would have been needed to keep populations steady and replace those slaves who died, escaped, ransomed, or converted to Islam.

どれだけの人数の男性、女性、子どもが奴隷になったのかという記録はない。しかし、死ぬ、逃亡する、身代金と引き換えに解放される、あるいはイスラムに改宗する…このようにして減っていく奴隷の数を一定に保つために必要とされる毎年の奴隷供給量は大雑把に計算可能である。

BBC - History - British History in depth: British Slaves on the Barbary Coast

それから数ヵ月後、Jack London の小説 "The Shadow and the Flash" の以下のパラグラフでこの ransom という単語に再会した。このときこの単語の意味をすっかり失念していた。

"White quartzose sand," Paul rattled off, "sodic carbonate, slaked lime, cutlet, manganese peroxide - there you have it, the finest French plate glass, made by the great St. Gobain Company, who made the finest plate glass in the world, and this is the finest piece they ever made. It cost a king's ransom.

「石英砂だよ」。ポールは言った。「炭酸ナトリウム、消石灰、スライスした肉、過酸化マンガン。君のところにあるのがフランスの厚板ガラス、サンゴバン社の製品。ここは世界で最も良質の板ガラスを作っていた。この板ガラスはその中でも最高の品でね、かなりカネがかかったよ」。

Short Stories: The Shadow and the Flash by Jack London

自分は英語の単語熟語あるいは慣用句あるいは句動詞などは「文章で」暗記してきた。たとえば "hedgehog" という単語を覚えたければ、

  • ハリネズミなど多くの動物は暗い色調の色だ。
  • hedgehog - ハリネズミ, earth tone - 暗い色調
  • Hedgehogs and many other animals have earth tone colors.

…という組み合わせのカードを作り、それをCSVファイルにし、 FlashCardQ3 というiPhoneアプリで学習してきた。

もっと具体的に言うと、

ハリネズミなど多くの動物は暗い色調の色だ。

…という日本語の文章をiPhoneアプリで表示した状態で、

Hedgehogs and many other animals have earth tone colors.

…という英語の文章を思い出してそれをしゃべる、という学習方法だ。

この方法だと "hedgehog", "earth tone" という単語あるいは単語の組み合わせを暗記できるだけでなく英作文の訓練にもなる。この訓練方法はかなり効果があると個人的には思っている。実際以前ほど英語のニュースとか英語の小説を読むのが苦にならなくなっているからね。

FlashCardQ3 のスクリーンショット

FlashCardQ3 のスクリーンショット

FlashCardQ3 のスクリーンショット

ああ、それでも ransom という英単語は忘れてしまったよ。覚えてなかったよ。完璧な暗記ではなかったわけだ。一体オイラの学習法に何が足りなかったのか。改善する必要があるのか。単に英語にふれる時間が少ないのか。

なかなか覚えられない英単語を確実に覚えるには最低でも2ケ所以上の異なる文脈で覚えるとよい、という話を聞いたことがある。なるほどと思う。しかし頻出率が低い単語ほど別の場所で再会できる確率は低いわけで、なかなか難しい。

じゃあ、覚えたい単語をGoogleなどで検索して2個か3個ほどの文章を拾ってきてその文章を覚えればいいじゃん、と誰しも思うだろう。しかしこの方法は怪しい。その理由はうまく言えないけどこういうことだ。すなわち、

  • 暗記したい単語に「意識して再会する」のではなく「偶然再会する」ほうが記憶を確実にするのに効果的である(と思う)

…ということ。

何て言うかなあ、男女の出会いとも似ているんですよね。意識的にお膳立てして出会う異性よりも偶然出会った異性のほうがいい、という感じですかねえ(←ホントか?)

まあ、ようするに、今回の ransom みたいに「偶然再会する」というのが最も効果的だと思うんですよ。焼けボックイに火がつくようなもんです←え?w

Amazon Kindle のOCRに少しガッカリ

ここ数日間読んだ英語の洋書で面白いと思った1冊が

Carolyn Keene の "Nancy Drew 02: The Hidden Staircase"
http://amazon.com/dp/B001QL5MSM

というミステリーもしくはスリラー物。面白くて続きをどんどん読みたくなってしまうのはいいんだけど、タイポというか誤植というかOCRの失敗というか、とにかく間違った綴りが多くて少し失望している。

以下のスクリーンショットはすべて Amazon Kindle Store で購入した本を Kindle の iPhone アプリで読んでいる場面である。紙の本ではない。

まずは下のスクリーンショット。 "noise" が正しいと思うんだけど、なんか変なゴミが入っているっぽい。

Kindle本のスクリーンショット

次のスクリーンショット。"Perhaps" のOCRを失敗かな?

Kindle本のスクリーンショット

下は "identify" のOCR失敗。

Kindle本のスクリーンショット

次は変なのが2箇所ある。正しくは "indicating" と "seated" だろう。

Kindle本のスクリーンショット

下のスクリーンショットはまた少し変わった誤り。"figured" という綴りは正しいけど "figu" と "ured" に分離している。オリジナルの紙の本では「行変え」の部分なんでしょうね、おそらく。それを正しくOCRすることに失敗したっぽい。

Kindle本のスクリーンショット

最後は "appetite!" が "appetitel" になってしまった。感嘆符が正しく解釈されなかったようだ。

Kindle本のスクリーンショット

ちなみにこの "The Hidden Staircase" は1930年に書かれた小説であり、シリーズ化されている。1950年ごろに人種差別の箇所などを書き改めたらしいけどいずれにせよ古い小説ではある。Nancy Drew シリーズは18歳ぐらいの女の子ナンシーが謎の現象や犯罪を解き明かすミステリーまたはスリラーであり、子どもでも読めるような内容である。暴力とセックスのシーンは全くない。全米で長く人気があるらしい。Wikipediaによると、幼少期のヒラリー・クリントンもこの Nancy Drew シリーズを読んで影響を受けたとか。

この "The Hidden Staircase" は1930年に書かれ1950年ごろに書き改められたロングセラーなのだから紙の本に誤植がこんなにたくさん残っているとは考えにくい。上に並べたスクリーンショットはやはり誤植ではなくOCRの不備である可能性が非常に高い。

ただし一応言っておくと、この本はたまたまOCRの失敗が多い本なんだと思う。他のKindle本でここまでひどいのにはお目にかかったことがない。

何度も言うようにこの本の初出は1930年である。最近の本と違ってテキストがデジタル化されているわけではないだろうからOCRに頼らざるをえない。Project Gutenberg ならOCR技術を使うにせよ目視チェックも厳しくやるはず。しかしAmazonは目視チェックが甘いんだろうな。

ところでKindleが日本で公式デビューする日が近づいているわけだけど、日本語のOCRはどうなんだろうね。1930年ごろの日本の小説は青空文庫に揃っていていずれも品質は高い。誤植のたぐいは少ない。Amazonはおそらく昔の文学を高品質な青空文庫から拝借するという形になるだろう。

問題はテキストのデジタル化が始まる以前の、著作権がまだ残っている文学。具体的にはワープロが本格的に使用される以前の時代(1970年代までかな?)の文学。この時代のものは青空文庫に頼らず日本の出版社またはAmazon自身がOCRするしかない。まあ、なにごとも大雑把なメリケンの人たちと違って日本人は印刷の分野では几帳面だからあまり心配する必要はないか。

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