ArtSaltのサイドストーリー

音楽、フリーウェア、WEBサービス、食べものなどに関する日記。トラックバック、コメント歓迎。

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Webキャッシュ・サービスのWebCiteが資金不足

いわゆる「Web魚拓」とか「Webキャッシュ」と呼ばれるサービスで有名な WebCite (webcitation.org) が深刻な資金不足。

このサービスを支える資金調達が目標に達しなかった場合 WebCite は2013年末をもって新たなWebキャッシュの受付を停止することになります。

本サービス継続のためクラウドファンディング (crowdfunding) のキャンペーンのサポートをお願いします。もしも本サービスの継続に興味を持っていただけるなら寄付またはFacebookでこのキャンペーンをシェアしてくださると助かります。$250以上の寄付をしてくださった方々については新装したサイトでそのお名前を掲載したいと考えております。

http://fnd.us/c/aQMp7

WebCite

WebCite のスクリーンショット

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Operaメールは時代を先取りしていたのか

Prestoを捨ててWebKitのエンジンを採用することを先日発表したOpera。タブやスピードダイヤルなど今日どのブラウザでも当たり前になっている機能を早くから実装してきた偉大なるブラウザがオープンソースのWebKitに向かうことに時代の変化を感じる。注目すべきは今までOperaに実装されてきた機能のいくつかが今後切り捨てられるかもしれないこと。

たとえばOperaのメール・クラアント。かつて "M2" とも呼ばれていたもの。これが生き残るかどうか。オイラは使ったことがないので「ブラウザで電子メールを扱って何か楽しいことでもあるの?」と今まで不思議だったのだが、2ちゃんねるのOperaスレッドを読んで初めてその有用性を理解した。

332 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] :2013/02/18(月) 11:45:03.25 ID:6QMfLbzr0

メーラー使っている人は、なぜwebメールなどに移行しないのか?

334 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] :2013/02/18(月) 11:50:30.57 ID:QpLdmOaa0

>>332
いちいち各メールサービスのページに行かなくて済むから

335 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] :2013/02/18(月) 11:53:21.16 ID:YqZOOMar0

複数のWEBメールの集配センターはOperaのM2なんだよぉぉぉ~おおおお!

338 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] :2013/02/18(月) 12:17:28.08 ID:MwSZ9OQh0

>>332
gmailとyahooを使っている( ー`дー´)キリッ

339 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] :2013/02/18(月) 13:19:02.45 ID:Mfhcg7vpP

ウェブメール5種+プロバイダーメールを一括で管理してるからなあ

341 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] :2013/02/18(月) 15:05:15.54 ID:1db4sBsS0

>>332
M2のようにフィルタリングがサクサク動かないから

342 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] :2013/02/18(月) 15:28:08.11 ID:M3It8RIK0

>>332
単一インターフェースで複数の鯖のメールを扱えるから。

Opera総合スレッド Part194

おお、なるほど、そういうことだったのか。たとえばAppleのiOS端末の標準の「メール」はGmailやYahoo!メールやlivedoorメールなど複数の電子メール・アカウントを1箇所に集約して管理できるんだけど、Operaのメールはあれと似た感じなんだろうね、たぶん。ブラウザのメール機能と言えば今は亡きNetscapeにもあったらしいけど、あれとはまた違うのかしら?

で、思った。Operaは昔から時代の最先端を行っていたけどそのことに気づく人は少なかったのかもしれない。時代がようやくOperaに追いついた?

昔からOperaを使ってきた人たちの心境は複雑だろう。Web、BitTorrent、RSS、電子メールなど様々なものをひとつにまとめてしまうノルウェー企業のやり方は、AppleやAmazonやGoogleなどが各々の生態系にアプリや音楽や位置情報やモバイル決済情報を集めて「囲い込み」をやっている現在のビジネスの先駆けだったとも解釈できる。いや、ちょっと違うかな?

Netscapeが消滅するときブラウザ難民を引き受けたのがFirefox だった(ん? Mozillaだったっけ?)。仮に今回多くの難民が出てきたらそれを受け入れるのはまたしてもGeckoのFirefoxになるかもしれない。だがFirefoxにはOperaのメールクライアントに相当するものがない。さらに言えばFirefoxのスタイルは "何とか.ini" をいじっているOperaユーザーたちの姿とは10万光年ぐらいかけ離れていると個人的には思うけどね。まあ、いいや。

最後に「いつもの」(?)画像を貼っておく。OperaユーザーはFirefoxに対して「モッサリ」という印象を持っているのか、そうか。逆にFirefoxの人たちのOperaに対する印象は…「宗教」だそうです。

2ちゃんねるのスクリーンショット

Notepad++のスペルチェッカーがかなり便利

英語の綴りを訂正または自動修正してくれるテキストエディターを物色していたら Notepad++ というのを見つけた。Windowsパソコンで動く。どちらかというとプログラマー向けなのかな? でも英語など外国語の綴りの間違いをしっかりチェックしてくれるので外国語を書く機会が多い人にも役立つ。

Notepad++ でスペルチェックをおこなうには辞書をインストールする必要がある。詳細は「テキストエディタプラグインとしてのaspell (notepad++とAkelpad): for the Quality Web Life」に書いてあるとおり。ざっと説明すると、以下のようになる。

  1. Notepad++ Home でNotepad++のインストーラーをダウンロードし、Notepad++をインストールする。
  2. GNU Aspell (Win32 version) で辞書のインストーラーをダウンロードし、辞書をインストールする。
  3. Notepad++を起動する。Notepad++の指示に従って辞書のパスを指定する。

Notepad++ のスクリーンショット

スペルチェッカーを起動して "Learn" をクリックすると新しい単語を覚えさせることができる。辞書をインストールすると Aspell というフォルダの中に en.pws というファイルができる。辞書に新しく単語を追加するにはこの Aspell というフォルダに対するアクセス許可を変更する必要がある。

Notepad++ のスクリーンショット

  • 日本語化してもいいけど、英語と日本語とスペイン語らしきものが妙な具合に混ざったメニューになってしまうので結局英語のインターフェースにした。テキストエディターなんてどれもやってることは似たようなもんだから英語でも全く問題ない。
  • スペルチェッカーを起動するキーボードショートカットもある。ショートカットはもちろん変更可能。
  • 少し細かいことだけどキャレットの幅を変更できる点がうれしい。点滅するのが煩わしければ完全に停止できるよ。

本当はiOS端末でやってるみたいにタイプしていると自動的にスペルを補正してくれる機能があればいいんだけど、Notepad++はそこまでやってくれない。あくまでも書き終えてからのスペルチェック機能。

技術との闘争、技術との協調

話題になっている Erik BrynjolfssonAndrew McAfee の共著 "Race Against The Machine" を読んだ。著者の言わんとすることを自分なりに簡単にまとめると、

  • 今日の雇用危機は経済成長が不十分だからではない。むしろ経済成長が順調だからこそ失業者が増えるのである。
  • 蒸気機関、内燃機関、電気などテクノロジーの進歩は人間の仕事を減らしてきた。現代はコンピューターなどの機械が人間の仕事を奪っている。
  • だが蒸気機関、内燃機関、電気などは同時に企業家たちに新たな雇用を作らせた。産業革命以後多くの人たちが農業をやめたが、それを上回る数の雇用を産業革命は作り出した。同様のことはコンピューターとネットワークの時代にあっても起きるはずである。
  • 人間の仕事にはオートメーション化されて機械とコンピューターに駆逐されていくタイプとオートメーション化されにくいタイプの仕事がある。
  • これからは機械と対峙する競争 (race against the machine) ではなく機械と共同する競争 (race with the machine) の時代である。

…ということだ。

Race Against The Machine

苦労してオリジナルの英語を読んだのだけど、なんと数日後(2013年2月7日)に日本語訳が紙の本で出版されるとか。まあ、いいや、もう読んじゃったし。

AmazonのURLを貼っておく。2013年2月2日の時点での値段も書いておく。為替レート変動で価格がときどき変わるはず。

アメリカAmazonのKindle本 - $3.50 ←オイラが買ったのはこれです。安い!
http://www.amazon.com/dp/B005WTR4ZI
アメリカAmazonのペーパーバック - $10.39 ←少し高いかな?
http://www.amazon.com/dp/0984725113
日本AmazonのKindle本(英語) - 316円
http://www.amazon.co.jp/dp/B005WTR4ZI
日本Amazonのペーパーバック(日本語) - 1,680円←「機械との競争」という邦題
http://www.amazon.co.jp/dp/4822249212
日本Amazonのペーパーバック(英語) - 1,061円
http://www.amazon.co.jp/dp/0984725113

本書の中で著者の2人は「私たち2人はできるだけ多くの人たちができるだけ早くこの本をコピーしてほしいと思っている」と明言している。ならば遠慮なく一部を翻訳して公開することにしよう。以下は個人的に重要だと感じた箇所の翻訳である。


第1章

もっと大きな問題は経済成長が回復しても失業者が仕事を見つけられないことだ。景気後退が公式に終了してから25ヶ月経過した2011年7月アメリカの失業率は依然として9.1%という数字だった。これは過去最悪だったときよりも1ポイント未満の改善に過ぎない。失業期間の平均値は2011年前半までに39.9週にまで跳ね上がった。これは戦後最悪だった時期の約2倍だ。

これらの酷い数字を見て多くの人は当惑する。なぜなら他の経済指標は大不況 (the Great Recession) が公式に終了した2009年6月には素早く回復しているからだ。大不況が終わってからの7四半期のGDP成長率は平均で2.6%である。

首切りの数は即座に大不況以前の水準に戻った。企業は首切りをやめた。しかし新しい雇用は増えていない。企業が新たに導入したのは新しい機械である。新しい人間ではない。

なぜ失業率はいつまでたっても改善しないのか? この設問に対するアナリストの説明は3つに分類できる。景気循環説、景気停滞説、そして「仕事の終焉」説である。

景気循環の立場から見ると、特に新奇なことが起きているわけではない。米国における高い失業率は単に経済が人々を仕事に戻すほど十分に成長していないだけの話だ。ポール・クルーグマンはこの見解を支持する1人である。彼は言う、「すべての要素が示唆しているのは、米国の高い失業率は不十分な需要の結果である、ということだ」。

経済学者タイラー・コーエン (Tyler Cowen) は2010年の著書でこう述べている。

少なくとも300年間私たちは果樹の低いところにある果実を食べてきた。しかしこの40年間で低いところに垂れ下がった果実は消滅しつつある。にもかかわらず私たちは果実がまだそこにあると思い込んでいるのだ。私たちは現在技術的停滞期 (technological plateau) にあることを認めたがらない。果実の樹が私たちの期待に反して裸の状態であることを認めようとはしない。しかし現在起きているのはまさにこういうことなのだ。

景気停滞説はリーマン・ショック後の大不況を無視するわけではない。しかし、それが現在のゆっくりした景気回復と高い失業率の主な原因である、という考えをとらない。この苦しみの原因はもっと深いところにある、と彼らは考える。

前述のコーエンは、景気のスローダウンは1970年代から続いていると見る。アメリカの生産性が伸び悩み、家庭の収入の中央値の上昇が止まったのはこの時期である、とする。

この種の説明に近いものとして、アメリカは景気停滞しているわけではなく、インドや中国など他国がアメリカに追いつきつつあるのだ、という見方がある。

新たな雇用がなかなか増えない問題に対する3番目の説明は景気停滞の論議をいったん脇に置く。そして近年のテクノロジーの進歩を軽視しない。逆である。テクノロジーの進歩を重視する。私たちはこの立場を「仕事の終焉」と呼ぶ。これはジェレミー・リフキン (Jeremy Rifkin) が1995年に書いた同名の著書にちなんだものだ。

仕事の終焉論を唱えるのは、ジョン・メイナード・ケインズ、ピーター・ドラッカー、そしてノーベル賞を取ったワシリー・リオンチェフ (Wassily Leontief) である。リオンチェフは1983年に、「生産における最も重要な要素としての人間の役割は縮小する運命にある。これは、農業生産における馬の役割がトラクター導入によって低下し、やがて完全に一掃されたのと同じことだ」と述べている。

景気停滞説をとる人たちは、収入や他の経済指標の伸びに力強さが欠けているのはテクノロジーの革新が減速しているからだ、と見る。私たちの考えはそれとは正反対だ。テクノロジーの革新のペースは減速していない。逆に加速している。そして非常に多くの人たちがそれに取り残されている。一言で言うと、多くの労働者は機械との競争に負け続けているのである。

しかし私たちは悲観論者ではない。人間の労働者が陳腐化する時代が来るとは思っていない。強力なデジタル・テクノロジーの時代にあっても人間のある種の技能はむしろ未だかつてないほど価値が高まるのだ。

第2章

ソフトウェアは少なくともある分野ではハードウェアと同じ速度で進歩した。コンピューター科学の Martin Groetschel は1988年から2003年にかけてコンピューターによって解決された標準的な最適化の速度を分析し、4,300万個の改善点を立証し、それを2つのグループに分類した。ひとつは以前より速くなったプロセッサーであり、もうひとつはソフトウェアに組み込まれた以前より良くなったアルゴリズムである。プロセッサーの速さは1,000倍になった。だがこの数値はアルゴリズムの進歩と比較すると色褪せてしまう。アルゴリズムは同時期に43,000倍良くなったのだ。

もしもパターン認識と複雑なコミュニケーションがオートメーション化されたら人間の技能は影響を受けないだろうか? チェス盤の残り半分をめぐる闘いを始めてもアドバンテージを維持できるだろうか? 当面は大丈夫だろう。ヒト型ロボットはまだ原始的で、細かな運動能力はお粗末で、階段から転げ落ちる程度の水準だからだ。植木の仕事やレストランでテーブルを片付ける仕事が今すぐに機械にとって代わられることはないだろう。

アラン・チューリング (Alan Turing) は、2000年までにはチューリング・テストでコンピューターの発する言葉を人間の言葉であると70%の確率で勘違いさせるほどコンピューターが進歩するだろう、と予言した。しかし1990年以後毎年開催されているローブナー賞というチューリング・テストの大会で半分以上の審判員を騙すことに成功して受賞したチャット・プログラムはまだ現れていない。他のどんなコンピューターであろうと人間そっくりなコンピューターは存在しないのだ。

第3章

デジタル・テクノロジーは高速で進歩する。しかし人間の組織と技能がそれに追いついていない。その結果多くの人たちが取り残されつつある。

米国1人当たりの実質GDP成長率と世帯ごとの実質所得中央値, 1975-2008
Race Against The Machine

上の図表は米国1人当たりの実質GDP成長率と世帯ごとの実質所得中央値を示したものだ。どうしてこんなに違うのか。大雑把に言うとこれは再分配の中央値と平均値の差異に由来する。50人の建設労働者がバーで飲んでいる場面を思い浮かべていただきたい。そこにビル・ゲイツが加わり、最も貧しい労働者1名が退出したとしよう。すると富の平均値は10億ドルに上昇する。だが中央値は全く変化しない。

アメリカ経済における所得に起きているのはこれと同じようなことだ。この数十年間で1兆円を超える富がつくられた。しかしそのほとんどは少数の人たちに渡った。経済学の Ed Wolff によれば、1983年から2009年にかけてアメリカの富は100%以上増加したが、この恩恵を受けたのは全世帯の20%である。残りの80%の人たちは30年近くにわたって富が実質的に減っている。

10年ごとに見た雇用数の伸び, 1940s-2000s
Race Against The Machine

この10年間でアメリカの人口は3,000万人増えた。すると2000年と同じ割合で雇用を維持するためには1,800万の雇用を新たに作る必要がある。しかし実質的な雇用は新たに生まれなかった。仕事に就いている人の割合は64%強から58%に減った。

歴史的に見ると、生産高の上昇は雇用の増加を意味した。だが現在の景気回復は予想を遥かに下回る規模でしか雇用を生み出さなかった。デジタル・テクノロジーが広範囲で強まるに従ってGDPと雇用の強い相関関係は弱まったわけだ。第2章で明らかにしたように、これは単なる偶然ではない。

経済学の素養がほとんどない人たちはこのことを知っている。機械と競争すれば負ける者がいることを直感的に知っている。皮肉なことに、この考えに抵抗を感じるのは良い教育を受けたはずの経済学者である。経済成長の標準モデルによって経済成長すればすべての国民が利益を得ることは当然だと思っている。だがノーベル賞を受賞したポール・サミュエルソンが指摘するように、アウトソーシングとオフショアリングは必ずしもすべての労働者の富を増やさない。テクノロジーの進歩はすべての人たちの所得を増す上げ潮であるとは限らない。たとえ全体の富が増えても勝者と敗者が生まれるのが普通だ。そして敗者はかつて馬車を製造していた工場労働者ほど少数ではない。基本的には多数派であり、人口の90%を超えることもありうる。

経済学者のデイビッド・リカルドは当初テクノロジーの進歩は万人に利益をもたらすと考えていたが、ラッダイト運動の直後に「技術的失業 (technological unemployment)」の抽象モデルを考案した。この考えの基本は、ある条件では労働者の均衡賃金が必要最低限の水準を下回る可能性がある、ということだ。合理的な人間ならそんな低賃金で働くことは意味がないと考える。こうして労働者は職を離れ、代わって機械がその仕事をやるわけだ。

経済学者のグレゴリー・クラーク (Gregory Clark) は著書の中でこう指摘する。

イギリスでは労役を担う馬の数は産業革命からかなり経過した1901年の時点で最大になっている。このときイギリスには325万頭の馬がいた。長距離輸送では鉄道にとって代わられ、機械の駆動では蒸気機関にとって代わられたけれども、依然として馬は農耕地を耕し、荷馬車を引き、短い距離の輸送をおこない、運河の舟を引っ張っり、坑道で働き、戦争で軍隊の移動を助けた。だが19世紀末期の内燃機関の到来が馬を即座に追い払った。こうして1924年までに馬の数は200万頭を割った。かつてすべての馬が使われるほどの賃金が常にあった。しかしその額は低くなったので馬の餌代を支払えなくなったのだ。

フルタイム通年の男性労働者の賃金の変遷, 1963-2008
Race Against The Machine

税引き後の実質企業利益, 1990-2010
Race Against The Machine

商務省の最新データによると、近年の法人利益は全国内法人所得の23.8%を占める。これまでの記録を1ポイント上回るシェアである。同様にGDPに占める法人利益の割合はこの15年間で最高である。他方で賃金と給付を含むあらゆる形の労働者の報酬はこの50年間で最低になった。労働とは対照的に資本はパイの割合を増やしたのだ。

勝者の収入が増え、敗者の収入が減ると、全体的には需要の落ち込みになる。高い技能の労働者は追加の収入が与えられる。彼らは労働時間を増やすのでなくレジャーの時間と貯蓄を増やすかもしれない。他方で低い技能の労働者は職を失い、無力なままになる。あるいは労働力の市場から脱落することになるかもしれない。高い技能の労働者も低い技能の労働者も以前より働かなくなる。こうして全体の生産活動は落ち込むのである。

短期的に見ると、労働から資本への富の移動は全体の需要の縮小をもたらす。そしてGDPの総額も減る。この現象を要約してくれる古典ではあるが実話かどうか疑わしい有名な逸話がある。フォードのCEOヘンリー・フォード2世と労働組合のUAW (United Automobile Workers) の委員長ウォルター・ルーサーが一緒に自動車工場を見て回っていたときのこと。フォードは軽い冗談を言ってルーサーをやんわりと挑発した。「ウォルター、このロボットたちにUAW向けのカネを支払ってもらうにはどうすればいいだろうね?」。ルーサーはひるむことなく切り返した。「ヘンリー、このロボットたちに君のところの車を買ってもらうにはどうすればいいだろうね?」。

デイビッド・ドーン (David Dorn) とデイビッド・オーター (David Autor) の調査によると、最近になって技能と賃金の関係はU字形になっている。最近の10年間で中間の技能を持つ者に対する需要は落ち込んだ。高い技能の労働者は非常に良い。しかし興味深いのは、低い技能の労働者は平均的な技能の人たちよりも被害が少ないことだ。つまり労働市場の需要は両極性になっている。アルファベットのUの字の形になっている。

これはオートメーションに関するある興味深い事実を反映している。簿記係、銀行の出納係、あるいは適度の技能が要求される工場労働者の仕事は庭師や美容師や家庭健康助手に比べると容易にオートメーション化できる。他方で特にこの25年間では物理的調整や知覚が要求される物理的活動は基本的な情報処理よりもオートメーション化されにくいことがわかってきた。これを「モラベックのパラドックス (Moravec's paradox) 」と呼ぶ。

洞察力、微細な運動能力、移動能力はオートメーション化が非常に難しい。人間の脳は高度に特殊化された神経回路を活用している。これは100万年を超える歳月をかけて洗練されてきた。そのおかげで人間は顔を認識したり、物体を操作したり、障害物がある場所でも自由に歩けるのだ。5桁の数の掛け算は人間にとってマスターするのは難しいが、物体の端を検知して視差を使って空間内の物体の場所を特定するとき人間の視覚野はもっと複雑な計算を楽々とやっている。

収入の中央値がずっと停滞しているのはテクノロジーの進歩が欠如しているからではない。逆である。私たちの技能と制度がテクノロジーの急速な変化に追いついていないことが問題なのだ。19世紀と20世紀にかけて連続したオートメーションの波が人間から仕事を奪ってきたとき、企業家は新しい職を作り、労働者はそれに必要な技能を学んだ。多くの人たちが農業を離れた。しかしもっと多くの雇用が製造とサービスで誕生したのだ。

第4章

蒸気動力が進歩してあらゆる産業に広まったとき人間の労働者は以前より多く必要になった。人間が必要とされたのはむき出しの物理的な力ではない。求められたのは移動能力や機敏さや調整能力や知覚能力のような物理的な力、そしてコミュニケーションやパターン照合や創造性のようなメンタルな力である。

経済競争は人々が機械と共に歩む絶え間ない革新からもたらされる。人間と機械が協調して競争に臨めばもっとたくさん生産できるし、市場を獲得できるし、他の「人間と機械」の組み合わせを打ち負かすことができる。

チェスのゲームをめぐる逸話が良い例である。1977年チェスのチャンピオンだったガルリ・カスパロフ (Garry Kasparov) はIBMのチームが作った1,000万ドルのスーパーコンピューターに負けた。これはビッグニュースだった。しかしその後のチェスの世界に起きた進歩に関する報道は主にギークたちの間でしか知られてこなかった。そのため現在地球で一番強いチェスのプレーヤーがコンピューターではないということはあまり知られていない。一番強いプレーヤーはコンピューターを使った人間のチームである。

人間とコンピューターの直接対決がつまらなくなってから(なぜかというとコンピューターが必ず勝つからだ)皆の関心は「フリースタイル」の競争に移った。フリースタイルでは人間とコンピューターのあらゆる組み合わせが認められる。最近の総合勝者は最強の人間でもなく最強のコンピューターでもない。カスパロフの言葉を引用しよう。

最強なのは3台のコンピューターを操作するアマチュアのプレーヤーたちだ。「チェスを苦手とする人間 + 機械 + 優れたプロセス」は強いコンピューターに勝る。もっと驚くべきことはその組み合わせが「チェスを得意とする人間 + 機械 + 劣ったプロセス」に勝ることだ。

eBay と Amazon Marketplace のおかげで600,000人以上の人たちが新しくて以前より素晴らしい今までにない廉価な商品を世界中に売って生活の糧にしている。新しい製品の「ロングテール」は莫大な消費者利益を生み出し、急速に成長する分野である。

Apple の App Store と Google の Android Marketplace はモバイル・アプリケーションのアイディアを持っている人たちがアプリを作って販売することを容易にしている。

テクノロジーはGoogleの Hal Varian が言うところの「ミクロな多国籍企業 (micromultinationals) 」にもっともっと多くの機会を与えている。ミクロな多国籍企業とは、少人数の従業員がいて、世界中に顧客がいて、ワールドワイドなサプライヤーとパートナーのネットワークがあるような企業を言う。20世紀の典型的な多国籍企業は少数の巨大企業であり、巨額の固定費用が必要で、非常に多くの従業員がいた。しかし次の21世紀は莫大な数の小さな多国籍企業を誕生させるだろう。固定費用は低額で従業員はごく少数になる。いずれのモデルもトータルでは同じ数の人たちを雇用する。しかし後者はもっとフレクシブルになるだろう。

私たちが教えているクラスにいるある学生は写真をシェアするFacebookアプリを作った。その学生はプログラミングをほとんど学んでいない。にもかかわらず普通のツールでプロが作ったかのようなちゃんとしたアプリを数日で作りあげてしまったのである。1年もたたないうちに100万人以上がそのアプリを使うようになった。このイノベーションはFacebookのユーザー・ベースのおかげで可能になった。Facebookのユーザー・ベースはWWWのおかげで可能になった。WWWはインターネットのプロトコルのおかげで可能になった。インターネットのプロトコルは「ムーアの法則」による格安のコンピューターなど多くのイノベーションのおかげで可能になった。この学生は先行するこれらの発明品がなければ100万のユーザーに価値をもたらすことができなかっただろう。

小さな会社に勤めている人たちがタスクを書き出す場面を想定してみよう。1枚のカードにつき1個のタスクを書く。会社に52個(通常のトランプのカードの枚数と同じ数)のタスクがあればそれらをアレンジする組み合わせは52の階乗 (52 * 51 * 50 ... * 2 * 1) になる。組み合わせの爆発的増加は1個の米粒が毎日2倍になって指数関数的に増える数 (1, 2, 4, 8, 16, 32...) を上回る。

かつてトマス・エディソンは、電球の物質で最も良い組み合わせを見つけようとするときのことを問われ、こんなことを言っている。「私は一度も失敗したことがない。単に10,000通りの組み合わせがうまくいかないことを発見しただけなんだ」。これを企業家の数1,000万で掛け算をしてみよう。経済のイノベーションの可能性がいかに大きいかわかるはずだ。そしてほとんどの可能性が未開発なのだ。

勝者総取り (winner-take-all) の経済では各々の市場でトップに立った者だけが莫大で不均衡な報酬を得る。だが新たに作られる市場の数の上限値は最初から決まっているわけではない。基本的には1,000万を超える人たちが1,000万を超える市場でそれぞれ主役になりうる。

とりわけリーダーシップとかチーム育成とか創造性などのよりソフトな技能が今後ますます重要になる。そのような技能はオートメーション化しにくく、動的で企業家精神にあふれた経済で最も必要となる。逆に、毎日他の誰かにこうしろと指示されるだけの従来のタイプの仕事を探している大卒の人たちは今後ますます機械との競争にさらされるようになる。

1. 教育に投資せよ。

2. 任期にとらわれることなく教師を達成度について責任を負わせよ。

3. 学生への授業をテストや成績認証の過程から分離せよ。

4. 高等学校3年までの生徒の授業時間を増やせ。

5. 技能を持った移民を奨励して技能を持った労働者の割合を増やせ。

6. 企業家精神をビジネス・スクールだけでなく高等学校で教えよ。

7. カナダにあるような founder's visa を作って企業家を応援せよ。

8. 新しいビジネスのために情報センターとデータベースを作って創造と宣伝のテンプレートを活用せよ。

9. 新ビジネスへの行政のバリアーを積極的に減らせ。

10. 投資して通信と運輸のインフラをアップグレードせよ。

11. 基礎研究と政府の卓越した研究開発機関への基金を増やせ。

12. 雇用と解雇に対する寛容な今の規制を維持せよ。首切りの禁止は逆説的だが雇用を減らす。新しい製品やビジネスモデルを実験的に始める企業にとってリスクが高まるからである。

13. テクノロジーを買うよりも人を雇うことがもっと有利になるようにせよ。これを実現するためには雇用主に課されている雇用税を減らし、長期間仕事を離れていた人への助成金や減税をおこなう。

14. 仕事で得られるさまざまな利益を分離せよ。健康保険など仕事と結びついた義務的な利益を統合することは労働者が新しい仕事に移ったり仕事を辞めたり新しいビジネスを始めることを困難にする。一例をあげると、多くの潜在的企業家は健康保険を維持する必要があるので起業が妨げられている。デンマークとオランダはこの点で時代の先を行っている。

15. 新しいネットワーク・ビジネスを無闇に規制しようとするな。

16. 巨額の住宅ローンを廃止または減額せよ。現在これは年間1,300億ドルを超える額だ。もしもこのカネが研究と開発に回されたら成長に貢献するだろう。持ち家の慣習は大きな利点があるが、労働の流動性と経済の柔軟性をしばしば損ねることも事実である。これは柔軟性をますます必要としている経済にとって都合が悪い。

17. 金融業界に対する補助金は公式非公式を問わず減額せよ。

18. 特許システムを改革せよ。

19. 著作権期間を長くするな。逆に短くせよ。フェアユースの柔軟性を増やせ。

第5章

いま起きているのは第3の産業革命であり、これはコンピューターとネットワークによってもたらされている。第1と第2の革命がそうであったように、第3の産業革命が達成されるには数十年を要するだろう。

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