ArtSaltのサイドストーリー

音楽、フリーウェア、WEBサービス、食べものなどに関する日記。トラックバック、コメント歓迎。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

removeの意味は日本人が考えているより広い

英語の動詞 "remove" を日本製の辞典で調べると「除去」「外す」「解任」という意味があるけど、英語ネイティブはもう少し広い意味でこの語を使っている。具体的に言うと remove には「取り出す」「(ガスレンジなどから鍋などを)おろす」という意味がある。似たような場面で使える "produce" との意味の違いも合わせて知っておきたい。


数日前読んだミステリー "The Sweet Dreams Bake Shop" (J. A. Whiting) が非常に面白かった。
http://www.amazon.com/dp/1508982988/

The Sweet Dreams Bake Shop

アメリカの町で起きた殺人事件をえがいたミステリー。読んでいるうちに "remove" という動詞が「除去」という意味に収まらないことに気づいた。

紙の本ではなくKindle本を買ったのでこの小説から "remove" を抽出する作業は非常に簡単。以下はこの語が使われている文のすべて。主人公が bake shop を経営しているので巻末に料理のレシピがある。

When the omelets had firmed up, Angie sprinkled them with cheese and removed the pan from the burner.
オムレツができたのでアンジーはそれにチーズをちりばめ、ガスレンジからフライパンをおろした。

Angie took glasses down from the cabinet and Jenna removed a glass pitcher of iced tea from the refrigerator.
アンジーは食器棚の上のほうからグラスを取り出した。ジェナはガラスでできたアイスティーのピッチャーを冷蔵庫から取り出した。

Ford removed the paperwork from a leather folder and placed it on the desk in front of Angie so that she could examine it.
フォードは革製のフォルダーから書類を取り出してアンジーの目の前にある机に置き、彼女からそれがよく見えるようにした。

She reached into her purse and removed the bow tie.
彼女はハンドバッグの中に手を伸ばし、あの蝶ネクタイを取り出した。

Another truck pulled up and two men removed a couple of moving dollies from the back.
もう1台のトラックがとまり、2人の男が出てきて車の後ろから台車を引き出した。

In a saucepan over medium heat, melt the butter. Let the butter bubble (swirling the pan occasionally) for 3 minutes or until the butter turns brown and smells nutty. Quickly remove the pan from the heat to prevent burning; let cool.
中火よりも強めで熱したソースパンにバターを入れ、溶かします。バターは3分間泡立たせます。または茶色になって香ばしくなるまで泡立たせます。(ときどきソースパンを揺らす)。次にソースパンをすばやく火からおろし、焦げ付かないようにします。これを冷ましてください。

Remove the tart from the oven and place on a wire rack. Cool completely.
タルトをオーブンから取り出し、金網台の上に置きます。これを完全に冷やします。

Cook over medium heat stirring constantly until thick; remove from burner.
中火で熱します。堅くなるまでずっとかき混ぜ、堅くなったらガスレンジからおろします。

おわかりいただけたと思う。このミステリーの中で "remove" はすべて「(鍋をガスレンジから)おろす」「取り出す」「引き出す」という意味で使われており、「除去」の意味で使われている文はひとつもない。不思議なことに日本人が編纂した英語の辞典に「取り出す」という意味を掲載しているのは見当たらないようだ。研究社の「新英和中辞典第6版」と小学館の「プログレッシブ英和中辞典第4版」に「移す、移動させる」という意味があるけど、ここから「取り出す (to pull out, to bring out) 」という解釈を引き出すのは難しい。Oxford Dictionary には remove の類義語として pull out, bring out が掲載されているんだけどね。

"remove" ははるか昔にフランス語から英語に入ってきた外来語だ。re (= back, 後方, 手前) と move が組み合わさってできた語なので「手前に動かす」→「取り出す」の意味があるのは当然とも言える。

「『取り出す』も『除去』も『移動』も似たようなものだ。日本語に翻訳するのではなく英語は英語のまま理解するべきだ」と考える人もいるだろう。しかしそれは安易な考えだと思う。

日本語の「除去」には「焦点が当たっている場所から焦点が当たっていない場所にネガティブなものを移動する」という印象があり、ニュートラルな感触がある「移動」「取り出す」とは明らかに違う。さらに言えば、「取り出す」の意味は「ポケットとかバッグのような何かが収められている場所から何かを引き出す」行為に限定されている。これは「除去」とも「移動」とも意味が大幅に異なる。日本語ネイティブが考える「取り出す」と「移動」にはそれぞれ独自の空間認識がともなっており、意味が似ていても使い方はだいぶ異なる。これに対して英語の "remove" は「除去」「取り出す」「移動」をすべて包括する語なのだと思われる。

このミステリー "The Sweet Dreams Bake Shop" は今年すなわち2015年の作品だ。ここで疑問が湧く。昔のアメリカ人も remove を「取り出す」の意味で使っていたのだろうか? remove にそういう意味が生まれたのはつい最近ではなかろうか? — この疑問を解くためにフィリップ・K・ディックが書いた1956年の有名なSFから引用しよう。

Anderton removed his wallet and took out the folded card. "Examine this carefully," he said, handing it to her.
アンダートンは財布を取り出し、折りたたんであるカードを出した。「これをよく見てくれ」。そう言って妻に渡した。

"The Minority Report" by Philip K. Dick (邦題「少数報告」フィリップ・K・ディック)


"remove" に似た意味を持つ動詞として "produce" がある。remove 同様にフランス語から英語に入ってきた外来語だ。この語を日本語に音訳した「プロデュース」はもう完全に日本語として定着しているけど produce を「取り出す」という意味で日常会話で使える日本人は非常に少ないと思う。語源学的に分解すると pro (= forth) + duce (= to bring) なので「製作」よりもむしろ「取り出す」のほうがこの語の本来の意味なんだけどね。

"produce" を「取り出す」の意味で使っている例をPKDの作品から抽出してみる。

"I'm going to compare it to the majority report." General Kaplan signaled an aide and a leather briefcase was produced. "Everything is here.
「これを多数報告と比較してみよう」。カプラン将官は側近に合図し、革製のブリーフケースを取り出させた。「すべてはここにある」。

"The Minority Report" by Philip K. Dick (邦題「少数報告」フィリップ・K・ディック)

He dug within a drawer of his impressive desk. “Ticket stub.” Reaching into a manila folder he produced a small square of embossed cardboard.
彼は非常に印象的な外観をした机の引き出しに手を突っ込んだ。「チケットの半券だ」。さらにマニラ紙のフォルダーの中に手を入れると小さな正方形の浮き彫り加工されたボール紙を取り出した。

"We Can Remember It for You Wholesale" by Philip K. Dick (邦題「追憶売ります」または「トータル・リコール」フィリップ・K・ディック)

ちなみに remove の「取り出す」と produce の「取り出す」は少し意味が違うと思う。back と forth の違いと換言してもいい。

  • remove - re (= back) + move -> 手前の方向に動かす -> 何かを取り出して自分のほうに引く
  • produce - pro (= forth) + duce -> 向こうの方向に動かす -> 何かを取り出して向こう側に差し出す

ゆえに、

He removed a card from the plastic bag.
ポリ袋からカードを取り出した。
He produced a card from the plastic bag.
ポリ袋からカードを取り出し、差し出した。
スポンサーサイト

MDR-AS600BTに良い音を求めるならイヤーピースの大きさが大事

Bluetoothヘッドセット SONY MDR-AS600BT を先日買った。これが当たりだった。イヤーピース (ear tips) のサイズを正しく選べば非常に良い音を出す。

MDR-AS600BT


Bluetoothのヘッドセットは以前ブログで少しとりあげた cheero Sound Shell というのを既に持ってるんだけどこれで音楽を聴いても音に満足できない。もっと良い音を出す製品が欲しかった。近所のビックカメラなどの家電製品の店に行っても音楽向きのBluetoothヘッドセットはほとんど並んでいない。なのでAmazonや価格.comやブログなどにある利用者の感想を頼りに以下の商品を候補とした。

ヘッドセット各種製品

SONY Walkman NW-WS615 (NWZ-WS615)

この形が一番理想に近い。そして値段が高い。18,000円前後。正確に言うとこれはヘッドセットと言うよりBluetoothを受信できるウォークマン。これを言ったら実も蓋もないけど、Bluetoothのヘッドセットが有線のヘッドフォンに音質の面で勝てるわけがない。そういうものに18,000円も出すのは難しいかな。

Plantronics BackBeat Fit

前出のWalkman同様この形は理想に近い。非常に美しい形だと思う。価格は10,000円前後。だがこの製品は密閉型ではなく遮音性が低い。おそらくジョギングなどをやる人たちのために開発された製品。遮音性が低いのは周囲の車の音などが聴こえなくなってしまうのは危険だという判断からだろう。自分は遮音性が高いヘッドセットを望むのでこの製品は買えない。

Soundpeats QY7

価格が非常に安い。2,300円ぐらいから買える。メーカーはたぶん中国の企業。Amazonなどでは非常に評価が高い。だが「日本で使えるための技適マークがあるだろうか?」という疑問が残る。

SONY MDR-AS600BT

最終的にこれを選んだ。Amazonで安くなってたので買った。7,480円。送料0円。ちなみにアメリカのAmazonでは100ドルぐらいで売られている。

正直に言うと、このMDR-AS600BTを聴いた初日は「ああ、買わなければよかったかも」と思った。音に全然迫力がない。美しい音だけど暴力的な力強さがない。特にベースとドラムの音が駄目だ。

そこでイヤーピースをいろいろ替えて試行錯誤した。他社のイヤーピースをいくつか試した。その中で最も良い音を出したのがComplyの低反発ポリウレタン製品だった。この経験から、このヘッドセットはイヤーピースの密閉度を高めればベースとドラムの音が良くなることに気づいた。

MDR-AS600BTのパッケージには L, M, S, SS という4種類の大きさのイヤーピースが付属品として入っている。自分の耳の穴には最も小さいSSが合っていると漠然と思っていたのでずっとSSサイズを装着していたけど、これが間違いだった。密閉度を上げる意味で自分に一番適しているのはそれより大きなMサイズだったのだ。イヤーピースを試行錯誤すること3日間。やっと気づいた。

SONY MDR-AS600BT に標準装備されているイヤーピースは同社の有名なEP-EX11シリーズ。クラゲみたいにフニャフニャしたシリコンなので「こんな大きなものが耳の中に入るわけがない!」と思っていても実際には入る。

イヤーピースの他に耳の窪みに差し込む三日月の形をした「アークサポーター」というのが付属品にあるんだけど邪魔になると判断。使わないことにした。

MDR-AS600BTの良いところ

  • ボタンが1個だけなので間違って他のボタンを押す心配がない。
  • バッテリーが非常に長く持つ。最大音量で音楽を再生しても8時間以上持ちそう。
  • ケーブルの長さは550mmぐらい。首の後ろに回すと煩わしいのではないかと疑っていたんだけど杞憂だった。ケーブルが若干太いので適度な硬さがある。なのでフニャフニャにならない。どうしても気になるなら「Shure掛け」もやろうと思えばできるし、ケーブルを首の後ろではなく前に回して垂らしても鬱陶しくない。
  • 色は青とオレンジ。今回買ったのはオレンジだけど蛍光色みたいな派手な色ではなく若干暗いオレンジ。浅黒く日焼けした人には青よりオレンジのほうが似合うかも。
  • 印刷した紙の取扱説明書が添付されているので助かる。(PDFもあると思う)。

MDR-AS600BTの悪いところ

音量調節が難しい。ボタンが1個だけなので操作が以下のように複雑怪奇。理解に苦しむ仕様。

  • 音量を上げる - 1回クリックして2回目は数秒ホールド
  • 音量を下げる - 2回クリックして3回目は数秒ホールド

SONY MDR-AS600BT

SONY MDR-AS600BT

結論

MDR-AS600BTはイヤーピースの大きさが重要。「自分の耳には少し大きいかな?」と思うぐらいの大きさにするといいかも。イヤーピースの大きさが適切であれば豊かな低音が出る。それと密閉度を高めることも重要なので耳に差し込む角度とか深さに留意すべし。

Google
WWW ArtSaltのサイドストーリー
このブログについて

最近のエントリ

カテゴリー
あわせて読みたいブログ

あわせて読みたい

最近のコメント
Internet Explorer
よりも便利です

Opera 9 - Always secure with Opera Firefoxをダウンロード!!

相互リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。