WikipediaをWikiと呼ぶな、JavaScriptをJavaと呼ぶな、iTunesをiTuneと呼ぶな、Outlook Express をOutlookと呼ぶな、Internet Explorer をExplorerと呼ぶな、Firefoxのextensionをplug-inと呼ぶな…
このグループに「パス」及び pass を付け加えてはどうか、というお話。
先日、英語学習に関して優れたエントリを書いているブログを読んでいたときのこと。この某ブログを書いてるのはたぶん日本語圏の人。コメント欄のパスワード入力欄の隣りに "pass" ということばがあった。コメントするときパスワードをそこに入力させたいわけだ。これを見てオイラは驚いた。こういう言語感覚は「テレビ朝日」のことを「テレビ」と略すようなものなのだ。甚だ遺憾である。
英語圏で pass が password を意味することはこれまでなかったし、これからもありえない。念のため手持ちの英和辞典、英英辞典、オンライン辞書(スラング辞典を含む)を手当たり次第に見たけど、「pass は password の省略形である」という記述は全く見つからなかった。
さらに言えば、日本語のITの文書で「パス」と言ったら普通は path を(ry
bus という語彙がある。photo という語彙がある。phone という語彙がある。それぞれ omnibus, photograph, telephone の略であり、定着している。言語なんてのは時とともにその姿、形を変える。ならば100年後には pass が password の意味を獲得して英語圏で認知されているだろうか?
bus という短縮表現が許されるのは、それまで bus という語彙が英語に存在しなかったからだ。同じことは photo, phone にも言える。phone という語彙はフランス語とかラテン語にはあるらしいけど、英語にはなかった。だから phone は telephone の正しい略語として認められた。
他方、pass は14世紀から英語の語彙として存在していて、「通行許可証」あるいは球技で言う「パス」の意味が定着している。上と下のリストを見比べればわかるけど、bus, photo, phone とは歴史的経過がまるっきり正反対なんだよ。
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