ArtSaltのサイドストーリー

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bring about は本当に句動詞か?

「日本人が最も苦手とする英語が bring about」という調査結果

語学などを学べるE-learningサイト smart.fm がユーザ115,641人の学習記録を分析し、間違いやすい英語の上位10位を発表した。それによると、
bring about (~を引き起こす), closely (厳密に、注意して), cautious (慎重な), deserve (値する), come up with (~を思いつく、考え出す), possibly (もしかしたら), live up to (~に応える、沿う), perceive (知覚する), go through (~を見直す、くまなく調べる), go over (~をよく検討する)
の順になるという。

「TOEICの専門家」と称される早川幸治氏の寸評。

TOEIC論を、語彙力の観点から見ると、TOEICテストはビジネス語彙の知識が必要となるが、その単語を訳せればよいという程度のものではない。構文やフレーズ単位でテンポよく理解していくことが必要です。特にリーディングセクションは75分で100問に答えなくてはならず、ゆっくりと読んでいる時間などない。頭で知っているという「知識」から、英文を読んで理解するという「スキル」への転換がスコアに直結する。bring about、come up with、live up to、go through、go overについては、覚えにくい理由は同じである。すなわち、単体で使われる時の動詞の意味と、熟語で使われる時の意味が異なるからである。学習者の多く(私も含めて)は単語学習(記憶)を苦手としている。それは、「英単語=日本語」で覚えようとするからである。言葉は単体で使うのではなく、文脈があるから生きてくる。動詞は主語や目的語とセットで、副詞は動詞とセットで、形容詞は名詞とのセットで覚えると記憶しやすい。

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つまり早川氏によると、bring about などの正解率が低いのは、「単体で使われる時の動詞の意味と、熟語で使われる時の意味が異なるからである」なんだそうだ。本当だろうか。

on - 接触, about - 周辺

副詞または前置詞の about の原義は「周辺」であり、on と比較すると意味が明確になる。

  1. A research paper on Shakespeare
  2. A research paper about Shakespeare

#1がもたらす感触は「シェークスピアを真正面からとらえた論文」。シェークスピアそのものをちゃんと研究してる。on は物事に「接触」している感覚。

他方、#2には「シェークスピアにまつわる、ちょっとした雑文」という感触がある。about は接触するのではなく「周辺」をぶらぶらと漂う感覚。オイラが教官だったらこんな論文(あるいはエッセイのようなもの)は受理しない。

Dr Roberta Marshall, communicable diseases director, said: "If you are eligible, don't miss your chance to have this vaccine during October and November -- Don't wait until flu is already about. The vaccine could be a life saver."
伝染病研究の権威である Roberta Marshall 博士は言う。「適格者の人は10月から11月にワクチンを接種するのを忘れてはいけません。インフルエンザが流行ってからでは遅いのです。ワクチンを受ければ命が救われるかもしれません」。
Lancashire news, sport and entertainment from Lancashire, Greater Manchester & Merseyside - Flu jab call

"flu is already about." がなぜ「インフルエンザの流行」を意味するのか。about の原義は「ある出来事の周辺」。「周辺」という感覚を少し拡大してやれば「周辺一帯」「あちらこちら」になる。

bring aboutabout は出来事の範囲を示している

もともと bring 自体に「持ってくる」「連れてくる」「もたらす」という意味がある。そして bring される出来事の分布範囲を示唆するのが about だ。ゆえに bring about を詳しく日本語で説明すると、「狭い範囲ではなく、あちらこちらに何かを引き起こす」。

bring about, come up with, live up などのいわゆる「句動詞」について早川幸治氏は、「単体で使われる時の動詞の意味と、熟語で使われる時の意味が異なる」と解説なさっている。仮におっしゃるとおりなら、英語学習者は "bring", "about", "bring about" という3つの単語及び熟語を覚えなければならない理屈になる。bring up であればここにある邦訳を丸暗記しなければならない。時間をもてあましている暇人はそれでもいいだろう。

しかし普通の人はそんなことをする必要はない。bringabout の原義を徹底的に頭に叩き込んで場数を踏めばいいだけの話だ。

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