ArtSaltのサイドストーリー

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イギリス人作家は used to と would をこう使い分ける

イギリスの作家 Roald Dahl の小説 "The Witches" に used to VERBwould VERB の違いが如実に現れている例があった。

以下は主人公と祖母の会話。祖母がノルウェーで過ごした子ども時代を回想する場面。わかりやすいように used towould を font-size:200%; とした。

"All day long," she said, "my brother and I were out in the rowing-boat. The whole coast is dotted with tiny islands and there's nobody on them. We used to explore them and dive into the sea off the lovely smooth granite rocks, and sometimes on the way out we would drop the anchor and fish for cod and whiting, and if we caught anything we would build a fire on an island and fry the fish in a pan for our lunch. There is no finer fish in the world than absolutely fresh cod."

"What did you use for bait, Grandmamma, when you went fishing?"

"Mussels," she said. "Everyone uses mussels for bait in Norway. And if we didn't catch any fish, we would boil the mussels in a saucepan and eat those."

"Were they good?"

"Delicious," she said. "Cook them in sea-water and they are tender and salty."

"What else did you do, Grandmamma?"

"We used to row out and wave to the shrimpboats on their way home, and they would stop and give us a handful of shrimps each. The shrimps were still warm from having been just cooked, and we would sit in the rowing-boat peeling them and gobbling them up. The head was the best part."

ご覧の通り、主人公の祖母は以下のように used to => would の順番で語っている。

  1. 1回目の used to
    「これは過去の出来事であり、頻繁におこなった行為または一定期間継続した状態である」という宣言。
  2. would を数回使用
    過去の出来事のイメージを脳裏に描き、それを言語化する。具体的には釣りの思い出話。
  3. 2回目の used to
    「他にはどういうことをやったの?」と主人公に問われたので「これは過去の出来事であり、頻繁におこなった行為または一定期間継続した状態である」と再度宣言。
  4. would を数回使用
    過去の出来事のイメージを脳裏に描き、それを言語化する。具体的には蟹船からもらった蟹の話。

used towould の使い分け。ここまで明確な規則性があることに驚かされる。この小説の著者 Roald Dahl の書き方の癖なのかもしれないけどね。

結論

used to VERB
過去の繰り返された出来事を客観的に淡々と述べている印象がある。「語り手の意思」「回想」という感覚は希薄。
would VERB
will は「語り手の意思」を示す助動詞または動詞または名詞である。ゆえに一般的な過去時制(助動詞を伴わない過去時制)と違ってこの形は「語り手が過去を思い出す」という印象が非常に強い。逆に言うと、「頻繁」という印象は弱い。よって「頻繁」「習慣」という意味で語りたければ often のような副詞を添えたほうがいい。
一般的な過去時制(助動詞を伴わない過去時制)
過去の出来事を淡々と語る印象がある。

おまけ

以下は上で引用した小説の拙訳。

「兄と私は」。祖母は言うのだ。「兄と私は一日中小型ボートに乗って出かけたものよ。海岸には一面小さな島が点在していて、そこは誰も住んでいない島なの。私たちは探検に出かけてつるつるした可愛らしい花崗岩から海に飛び込んだものよ。ときには途中で錨を下ろしてタラやwhiting(タラ科の魚)を釣ったの。何か釣れたら島で火をおこしてフライにして昼食にしたわ。新鮮なタラほどおいしいものは他にはないんだから」

「餌は何を使ったの?」

「イガイ(イガイ科の貝の総称。ムラサキイガイが有名)を使ったわ」。祖母は言った。「ノルウェーではみんなイガイを餌にするの。魚が釣れなかったらイガイをソースパンに入れて茹でて食べたものよ」

「おいしいの?」

「ものすごくおいしいわよ」。祖母は言った。「海水で調理すれば柔らかくて塩が効いた味になるの」

「他には何をしたの?」

「よくボートで出かけては寄港途中の蟹船に向かって手を振ったものよ。そうするとその船がとまって蟹船の人たちがひとつかみの蟹を兄と私にくれたの。調理したての蟹はまだ温かくてね、ボートに座って蟹をむしってムシャムシャ食べちゃったわ。特に頭がおいしくてね」

おことわり

ここで述べていることはあくまでも私の感覚と勘にもとづいている。正しいとは限らない。私がTwitterで

英文法の本にはwouldについて「『過去の習慣』の意味で使われることがある」という説明があるけど、あまりそういうイメージはないんだよなあ

と発言したところ、慶應義塾大学等で英語を教えてらっしゃる日向清人さんから

Michael Westはこの手のuseは、difficult and easily avoided in speechと言っており、話し言葉ではあまり聞かないので、そういうイメージを持たれるのではないでしょうか。

というご指摘をいただいた。

would VERB について言えば、直説法過去時制だけでなく仮定法過去時制でも使われる。しかし仮定法過去時制であれば would VERB の動詞の部分は動作動詞だけでなく状態動詞も許される。その理由を考えるのも楽しいけど、話がややこしくなるのでここでは言及しない。

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こんにちは。

実は僕もちょうど used と would の違いについて書いている途中でした。
この前、「English Grammar in Use」について書いた時、ちょこっと触れましたが、もっと詳しく書こうかと思って。
田中実『英語構文ニュアンス辞典』という本に used to と would の違いが詳細に書かれています。
ArtSalt さんの言うように、「would は often と共に用いられることが多い」や、「used to は客観的、would は主観的」など。
思うに、used to や would に「習慣」という日本語訳は合わない気がします。
習慣>>>>>> used to >> would な感じ。
2010/11/10(水) 18:11:39 | URL | まさんた #aLYDs0pg[edit]
こんにちは。Peter MasterのSystems in English Grammar はこのような同一のdiscourseの中で両者が使われるパターンにつき、"Used to" generally serves to introduce a narrative, whereas "would" tends to continue that narrative. と説明し、この点、be going to がnarrativeを始め、will がそのあとを引き受けるのと同じだとしています。
2010/11/10(水) 18:39:41 | URL | 日向清人 #-[edit]
ご無沙汰しております。いつぞやは「急がば回れ、な英語学習サイト」でご紹介いただき、冷や汗をかいたものです。

仮定法だと「would 状態動詞」の形が許されるのに直説法だと「would 状態動詞」の形が許されない理由を「洋書と英語の日々」でご説明いただければ幸いです。
2010/11/10(水) 18:43:30 | URL | ArtSalt(管理人) #-[edit]
おお、そうですか。やはりそういう傾向があるんですね。ありがとうございます。
2010/11/10(水) 18:44:45 | URL | ArtSalt(管理人) #-[edit]
直説法だと「would 状態動詞」が許されない。
難問ですね・・・。
でも「would 状態動詞」も許されるんです。
マーク・ピーターセンさんがそう言っています。
でも、でもその理由は説明してくれない。
その他の文法書や辞書でも「なぜ?」までは書いてくれない。
仕方がないので、自分で考えることにします。
「used to と would の違い」という書きかけの記事、「would 状態動詞」の件で納得できるまで自分の頭で考え、答え(当否はともかく)が出るまで封印します。
<余談>
日向さんがおっしゃていますが、ゴチャゴチャ言うのもアレなので田中実さんの本に出ている例文。

He used to go there with her. "Let's climb up the rock over there," he would say.

used to 先にありき。
2010/11/10(水) 21:25:32 | URL | まさんた #-[edit]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2010/11/10(水) 21:29:25 | | #[edit]
「でも」が重複している件。FC2ブログでは管理人といえども自分以外の人のコメントは改変できない仕様なのでこのままにしておきます。

コメントありがとうございます。
2010/11/10(水) 22:10:31 | URL | ArtSalt(管理人) #-[edit]
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