ArtSaltのサイドストーリー

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NYTが伝えた日本の匿名主義とFacebook事情

最近日本で多くのWebサイトが「Facebookはなぜ日本人に受け入れられないのか」を論じているじゃないですか。こういう議論自体がいわゆる「ステルス・マーケティング」っぽいんだけど、それはともかく、その中で一番盲点を突かれる思いをしたのが「Facebookの致命的な弱点は何か? - Thirのノート」だ。これ読んで思ったんだけど、

さまざまなグループに加わって他者とのつながりを獲得するのがFacebook。既成のグループの一員である自分を確認して他者とのつながりを感じるのがMixi。

ということじゃないかなあ。

以下は先日読んだ The New York Times の記事 "Facebook Wins Relatively Few Friends in Japan" の翻訳。書いたのは Hiroko TABUCHI という人。注意を払うべきはNYTの影響力。日本語で書かれたFacebook論を読むアメリカ人などほとんどいないが、NYTは違う。多くの人がこれを読んで日本のFacebook事情を知ったのだ。

ちなみにオイラがやってるのはTwitterだけで、FacebookはもちろんMixiもGreeもやってない。ゆえに誤訳や勘違いがあるかもしれないけど、そのへんは大目に見てください←え?w

日本でお友達をつくれないFacebook

HIROKO TABUCHI
Published: January 9, 2011

東京 — Mark Zuckerberg って誰?

Facebookの最高責任者であり共同設立者でもあるZuckerberg(26)はアメリカはもちろんそれ以外の大半の国で時の人だが、日本で彼の名を知る者はほとんどいない。

カリフォルニア州 Palo Alto に本拠を置き、つい最近全世界に5億8千3百万人の会員を擁するまでになったFacebookを使っている日本人はほとんどいないのだ。

日本のFacebook利用者は200万人を下回る。ネット人口の2%にも満たない。ネット利用者の60%(Socialbakers調べ)がFacebookで過ごすアメリカとは対照的だ。

Goldman Sachs が4億5千万ドルをつぎ込んでいるにもかかわらず日本はFacebookの地球規模の組織の中にぽっかりと開いた穴だ。

日本人は今までさまざまな既存のソーシャル・ネットワーキング・サイトやゲーム・ポータル・サイト — Mixi, Gree, Mobage-town — に集ってきた。それらはいずれも2,000万人もの利用者がいて、それぞれのやり方で人々をひきつけてきた。

それらのサイトに特徴的なのはインターネット利用者のプライバシーに真剣に注意を払っていることだ。メンバーは自分たちの顔を仮面で覆う。実名を共有するFacebookのビジネス・モデルとは好対照だ。

日本のWeb利用者は有名なブロガーでさえ偽名または通称を用いて実名を隠すのが普通である。

「日本でFacebookはある課題に直面しているのです」。東京で活躍するアナリスト Shigenori SUZUKI はそう指摘する。「日本には競合者がたくさんいます。そして日本特有のWeb文化の問題があるのです」。

Facebookの日本のマネージャ Taro KODAMA がアメリカに問い合わせたが、スポークスパーソン Kumiko HIDAKA はコメントの要求に対して回答を避けた。

Goldmanの計画した500億ドルの投資が正当だというならFacebookの存在感を日本で広げなければならない。同国のオンライン広告市場は全部ひっくるめると2009年で7,069億円だ。(いずれ中国がさらに成長するだろうが、政府による検閲がFacebookをブロックしている)。

Zuckerberg氏は "Japan gap" に本気で取り組むことを約束している。だがそれは容易なことではない。

何はともあれ特筆すべきは、過去数年間の勢いを失ったとはいえ日本の既存のソーシャル・ネットワーキング・サイトにはFacebook利用者の少なくとも10倍の利用者がいることだ。Facebookが同国で始まったのは2008年の中ごろにというのに。

Facebookによく似ているのがMixiだ。これは2004年に誕生した。Mixiの利用者は写真を投稿し、コメントとリンクを共有し、コミュニティー・ページで交流する。これはレシピの共有やマイケル・ジャクソンなどさまざまなテーマにもとづくフォーラムになっている。Mixiには2,100万の会員がいる。

今年Mixiを上回る2,200万人の登録会員を獲得したGreeは人気のある携帯電話向けゲームのプラットフォームで急速に成長した。ゲームは無料であり、利用者は漫画アバターと一緒に遊ぶ。(豪華な衣装とツールは有料)。

Mobage-townには2,170万人の利用者がいる。Greeと同じようにここもアバターとゲームと付属品の組み合わせだが、広告Webサイトでクリックすることによって仮想ゲーム・マネー (virtual gaming money) を獲得できるようになっている。

これら3者は既にFacebookの要素を取り入れ始めている。第3者開発者がアプリケーションをつくることだってできる。よって利用者がFacebookに乗り換える理由はあまりないのだ。

その中にあってMixiはシリコン・バレーの新興企業の技術を採用している。2009年末以来Mixi利用者はリアルタイムなショート・メッセージを送れる。マイクロ・ブロギング・サービスTwitterにちょっと似ていて、150文字まで書ける。

Twitterはここ日本でFacebookがうらやむくらいの速さで受け入れられている。日本で成功した Mixi, Gree, Mobage-town は利用者がTwitterに行くのを拒まなかった。インターネットとモバイル・サービスの企業 Digital Garage (訳者注:Twitterと資本・業務提携し、日本語版をつくった企業らしい)とのパートナーシップによって日本のTwitter利用者は爆発的に増えた。ニールセンによると7月の時点で日本のTwitter利用者は1,000万人を数える。Twitterは利用者に実名を明らかにすることを求めない。

FacebookとZuckerberg氏は日本での知名度を一気に上げようとしている。同氏のお世辞以下の描写である映画 "The Social Network" が今週封切りになった。

Facebookはそのサービスを日本仕立てにしようと努力してきた。同サイトの日本語版が数年前無償のボランティアによって翻訳、導入されたが、同社は2月に東京オフィスを構え、日本向けにサイトをカスタマイズした。(たとえば日本版では血液型表示がある。この国で血液型は重要な特質とみなされている)。

同サイトの日本語については「しっくり来ない」と指摘する向きもある。

Maiko UEDA さん(26)のようなMixi信者にとってFacebookに乗り換える理由などほとんどない。文房具店勤務のUEDAさんは1日に1回は必ずMixiにログインしてみんなの日記を読む。「日記」というのはFacebookで言う "status update" に似ているが、それよりも少し長めのものだ。彼女はアメリカン・ショートヘアーの写真をアップロードするし、ときには自分自身の1日を書いたりもする。

しかし他の人たちは彼女の実名を知らない。それどころか彼女の姿さえ見たことがない。この5年間彼女はMixiで自分の写真をアップロードしたことは一度もない。

そんな彼女もFacebookの名前は聞いたことはある。しかし「Facebookはオープンすぎないか?」と疑問を投げかける。

「Facebookで本名を公開したいとは思いませんよ」。UEDAさんは言う。「見知らぬ人があなたの正体を知ったらどうなります? あなたの会社の誰かに知られたらどうなります?」。彼女はMixi上のアカウント名を明かさないという条件で取材に応じてくれた。

携帯電話利用者2,130名を対象とした東京の MMD Laboratory の調査によると、回答者の89%が自分の実名をWebに公開することをためらうそうだ。専門家はこう見る — アメリカのFacebook利用者は実社会の人間関係をネットで再現する傾向があるが、対照的に日本人はWebの匿名性を利用して自分たちを表現し、「順応を求められる職場に適合しなければならない」という圧力から解放されるのだ、と。

アジア太平洋の11の国と地域の3,000人を対象にMicrosoftが実施したソーシャル・ネットワークの使用に関する2010年の調査によれば、「ソーシャル・ネットワーキング・サイト上の友人で親しい友人と呼べるのはわずか4分の1である」というのが平均的な回答だった。「ソーシャル・ネットワーク上の知り合いで親しい友人と呼べるのは一人もいない」とする回答が日本では半数を超えた。

Mixiは利用者に偽名を許すことで成長を遂げた。そして「誰が自分の投稿や写真を見たか」についてうまく調整する権利を会員に与えている。また会員は誰が「足跡」を使って自分のプロファイルを見たか観察することもできる。

Facebookは対照的だ。日本人利用者に対して「実名主義を厳守せよ」としきりに促す。名前に使われる漢字などの情報を出し惜しみする者には「Facebookは実名のつながりを大事にします」という警告メッセージがポップアップする。「実名を記入してください」。

「やっぱ何か大きな出来事が起きないと駄目だと思うんですよ。どっかの有名人がFacebookを始めるとか。ネットで実名を名乗るのを恐れる必要はない、むしろ便利だよ、と誰かが教えて回るとか」。こう話すのは日本で電子商取引とソーシャル・メディアのコンサルタントをやっている Toshihiko MICHIBATA さん。

日本はFacebookが他の地域でも取り組んでいるプライバシー問題の極端な事例になりうる。「あまりにも多くの個人情報を共有している」とする苦情を受けてこの5月Facebookは以前よりも強固なプライバシー・コントロールを導入したからだ。

「Facebook人気の中でプライバシー問題の危険性はなくなったかもしれませんが、他の地域では問題になるかもしれません」。こう指摘するのは有名ブロガー Akky AKIMOTO さん。しかしAKIMOTOさんは実名を明らかにすることも写真撮影も拒否した。「見知らぬ人にリアルの場で自分が自分であることを知られるのは嫌なので」。

それでもFacebookには強みがあるかもしれない。日本人はなんでも新しいものが好きだからだ。

Webデザイナー Mitsuyo Nakata さんは7年目を迎えたMixiについて「古めかしく感じられる」と言う。Mixiの成長は広告収入と投資家の信頼と同様にゆっくりになった。昨年の最終3四半期はMixiの利益が下がっている。株価は公開が開始された2006年当時の70%に落ち込んだ。

11月に行われた日本テレビのインタビューの中で、日本でFacebookを統括するKODAMA氏は「学校の昔の同窓生をネットで見つける便利さに気づけば利用者はFacebookの実名主義に心を開くだろう」と自信を見せた。

「日本のインターネットは実社会とは密接に結びついていません」。彼はこう指摘する。「つまりこれまで他社のコミュニティー・サイトが提供し続けてきたのはリアルの世界から離れているという快楽だったんですよ」。

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