ArtSaltのサイドストーリー

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34,000歳の塩漬け細菌と火星の生物

34,000年の眠りから目覚めた微生物は他の研究室でも再現されたらしい

数日前ギズモード・ジャパンの「塩漬けは長持ち! 塩の中で3万4千年前の生物発見される!」という記事を読んだ。塩の結晶の中で微生物が34,000年間生きていたという。しかし情報が少なすぎる。GIZMODO英語版も同じ。"34,000-Year-Old Organisms Found Buried Alive! | Climate Research, Salt Crystals & Ancient Organisms | LiveScience" に多少詳しい解説があった。以下はその原文を翻訳して抜粋したもの。注目すべきは研究結果が再現されたことだ。

  • 発見は約1年前のこと。発見者はブライアン・シューバート (Brian Schubert) 氏で、現在ハワイ大学の助手を勤める。詳細はアメリカ地質学会の機関誌 "GSA Today" の2011年1月号で発表される。
  • 「この過程は現代の塩湖でも再現しうる」と話すのはシューバート氏の当時の指導教官 (advisor) で、ビンガムトン大学 (Binghamton University) で地質学を研究するティム・ローウェンスタイン (Tim Lowenstein) 教授。
  • この細菌は好塩性 (salt-loving sort) であり、現在の地球上にも存在する。彼らは塩の結晶の中で縮小し、ある種の休止状態にあった。彼らは生きているがそのエネルギーを動き回ることに使わない。再生活動をしていない。自分たちの体を維持すること以外の活動は一切行っていない。
  • 数万年生き延びた秘密を解く鍵は一緒に閉じ込められたドゥナリエラ (Dunaliella) と呼ばれる藻類かもしれない。「一番興奮したのはドゥナリエラの細胞の同定に成功したときだよ。それが細菌の食料かもしれないからね」とシューバート氏は語る。つまり塩の結晶に閉じ込められた空間が顕微鏡サイズの生態系であるかもしれない。
  • 驚くほど長期間にわたって生き続けた生物を発見したのはシューバート氏とローウェンスタイン氏が初めてではない。10年ほど前には「2億5,000万年間生き続けた細菌を発見した」という報告があった。しかしそれは再現されず依然として意見が分かれている。
  • シューバート氏は研究結果の再現に成功している。自分の研究室だけでなく他の研究室でも同じ結果が得られている。「ゆえに私たちの研究室にあった物質による汚染は考えられない」とシューバート氏。
  • 次の問題は細菌が「飢餓生き残りモード (a starvation-survival mode)」で長期間生きながらえた理由だ。これについてローウェンスタイン氏は「原因はまだ明らかではない。細菌はDNA修復能力を必要とする。DNAは時間の経過と共に質が悪くなるからだ」。
  • シューバート氏によると、細菌が塩の結晶の中から目覚めて再生を再開するまで2ヶ月半かかる。
  • 「この細菌は34,000歳で、子供もいる」とシューバート氏。
  • 900個の塩の結晶の標本のうち細菌が見つかったのは5個である。

火星の生命との関係

これに先立ってブライアン・シューバート氏らは一昨年(2009年)の11月に論文を書いている。"Microscopic Identification of Prokaryotes in Modern and Ancient Halite, Saline Valley and Death Valley, California" という題名だ。さすがに全部読む気力はないので総論と結論だけ読んだ。以下は結論部分の全文翻訳である。

前述した記事ではこの好塩性微生物について bacteria (真性細菌) という語を当てているけど、こちらの論文ではそれだけでなく archaea (古細菌), prokaryote (原核生物。真性細菌と古細菌を包含するグループ) という語も使われて区別されていること注意。今回の発見は火星の生命を研究する上で役立つかもしれない。

死の谷 (Death Valley, California) の古代の岩塩で見つかった原核生物はおそらく好塩性の古細菌と真性細菌であり、間違いなく原始の姿をとどめている。大きさと形状等の視覚的な特徴から判断して、塩の結晶の微粒子とは別のものであることが見てとれる。原核生物は10,000年から35,000年前の永久塩湖で形成された岩塩の流体包有物 (fluid inclusion) で普通に見られる。短命に終わる浅い湖や地下水の中で形成された岩塩が流体包有物に原核生物の細胞を閉じ込めることはほとんどない。死の谷の岩塩の流体包有物に閉じ込められる原核生物の数を決定する最も重要な要因は何か。それは岩塩が凝結する古代環境であるというのが我々の結論である。氷河期の氷の研究によれば、温暖で乾燥していた時代よりも温度が低く湿度が高かった時代のほうが多くの微生物が生存しており、ゆえに古代微生物の生存能力は時代ではなく気候に関係する。このことは今回の結論と一致する。

流体包有物の中に見られる原核生物は比較的小さく球状である。これは細胞の縮小の結果であると考えられる。細胞の縮小は岩塩の流体包有物に長期間閉じ込められた原核生物の生き残り戦略であると思われる。岩塩の流体包有物に閉じ込められた原核生物の縮小に要する時間は岩塩の流体包有物に閉じ込められた好塩性微生物の実験研究の環境よりも自然条件の標本でより一層長いようだ。しかし縮小時間の短縮にはさらなる作業が求められる。

死の谷で見つかった古代の岩塩の流体包有物に原形をとどめた状態で存在する原核生物の同定によって、生命探査で火星表面の硫酸塩と塩化物塩 (chloride salt) を調査する作業に弾みがつくに違いない。火星の塩分は塩類鉱物の中にある流体包有物に閉じ込められた古代の塩水環境でつくられた。もしも塩分濃度が極めて高い水がある棲息環境が火星に存在するなら、温存されている可能性がある微生物を見つける努力はこれら火星表面の塩水からつくられた塩の結晶の流体包有物の研究に集中的に向けられるべきである。本研究が示すところによれば、原核生物が特異的に存在する場所は塩分濃度が極めて高い永久湖で形成された古代岩塩の中の流体包有物である。おそらく塩分濃度が極めて高い塩湖は火星の微生物にとっても良い環境であったろう。このような永久塩湖に沈殿してできた塩は、仮にそれが存在するなら、未来の火星探査において最も考慮されなければならないものである。

Microscopic Identification of Prokaryotes in Modern and Ancient Halite, Saline Valley and Death Valley, California (PDF)】
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