ArtSaltのサイドストーリー

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山田五郎が語るKindle日本進出問題

荒川強啓 デイ・キャッチ!」というTBSラジオ番組でテレビタレントの山田五郎さんがKindle日本上陸の話題について語っていた(2011年11月03日放送)。これが面白かった。山田さんは講談社で編集の仕事を長年やっていた人だ。だから話に重みがある。

ブロゴスの記事「「こんなの論外だ!」アマゾンの契約書に激怒する出版社員 国内130社に電子書籍化を迫る」が先日大きな話題になった。山田五郎さんはこの記事でふれられている「Amazonの取り分は55%。出版社は残り45%」という点についてこんなことを言っていた。以下は番組ポッドキャスト (http://podcast.tbsradio.jp/dc/files/yamada20111103.mp3) からテキスト起こしした山田五郎さんの発言を一部抜粋したものである。見出しは私が勝手につけた。

紙の本でも出版社の利益は半分以下なんだからAmazonの提案は無茶ではない

確かに無茶といえば無茶なんですけども、でも、これね、Amazonの立場からすれば妥当な面もあるのかなと私は思いますけどね。というのは、まず最初の取り分の問題ですけども、「出版社半分以下かよ」って言われるとすごい損してるような気になりますね。なりますけども、今現在の紙の本でも出版社が得る「あがり」ってのは定価の半分以下がほとんどですよ。

そもそも取り次ぎってとこに卸しますけども、その時点でもう70%ぐらいですから7割ぐらいですよね。しかも紙代とか印刷費がかかりますよね。で、紙代と印刷費の比率っていうのは、まあ、その内容が文字だけの場合は安く済むし、写真だったりカラーだったりすると高くなったりするし、あと部数が増えると、まあ、1部あたり安くなったりするから一概には言えないんですけども、まあ、今の初版1万部以下が多い昨今の感じで言うと、最低でもやっぱり定価の20%ぐらいは紙と印刷で引かれるんですよ。下手すりゃ半分ぐらい紙と印刷でかかっちゃうっていうのが現状だと思うんです。そうしてみると70%の卸値から少なめに原価20%と見ても、もうそれだけで半分50%しか利益ないでしょ? だからそのこと考えると、45%の取り分っていうのはそうそう無茶じゃないっていうか、まあ、ないよりはマシだ、ぐらいの感じ。

本当の争点は取り分ではなく小売り価格決定権を誰が握るのかということ

で、問題はその取り分の率よりも値段だと思うんですよね。僕はここがもめるところだと思いますね。そして値段をどっちが決めるか、誰が決めるかっていう、ここの問題だと思うんです。で、Amazonは自分で決めたがるんですよ。で、値段を安くしたがるんですよ、当然ね、そのほうが電子書籍が普及しますから。

で、去年の2月18日の「ボイス」でやったんですけども、実はアメリカでAmazonはこの問題をめぐってマクミランっていうアメリカの大手出版社と大変なもめごとを起こしていたんですよね。Amazonが「2ドル99から9ドル99でやりたい」と言っているのに対して、マクミランは「それじゃ無理だ」と、「12.99から14.99にしろ」って言ったら、Amazonが自分のとこのインターネットの書店でマクミランの紙の本も全部売らなくしちゃったりして大もめにもめたっていう事件があったんですよね。ま、最終的にこれは結局Amazonが折れたんですけれどもね。

再販価格制度がある紙の本との整合性を考えないといけない

だからこの出版社の取り分の率よりも価格決定権そして値段をどうするか、ここでね、そう簡単に折り合いがつかないと思います。まして日本の場合は再販価格制度というのがあって、紙の本の値段を勝手に下げられないでしょ? なのに電子書籍の値段ばっかり勝手に下げちゃったら困るっていう。ここの紙の本の再販価格制度との整合性をとらなきゃいけないんで、本当はここがもめるんじゃないかなと思いますけどね。

それから新刊も含めて過去の作品も極力出せ、と言ってるのは、これはやっぱり売れ線を出し惜しみされたらAmazonだって困るから、まあ、それは言うでしょうということですし、その欧米なみの著作権管理も、そりゃ言ってくるでしょうと。「そこ、ちゃんとしてくれよ」というのはね。だから問題はそう簡単に日本の場合はできませんよっていう。

今すぐ著作権管理を欧米と同じにしろと言われても無理だ

たとえばアメリカなんかだと作家さんがみんな著作権を管理してくれるエージェントに頼んでるケースが多いんですよね。だから出版社もAmazonもそこのエージェントと交渉してやったりする。日本の場合はそういうエージェントがないんですよね。出版社がそういう役目を負ってたりするんですけども、この場合作家さんひとり丸抱えっていうケースは少なくて、作品個々の出版契約でしょ? たとえば人気作家だったら講談社でも本出してるし、小学館でも本出してるし、文春でも本出してる。この作品に関しては講談社とやりましたけど、これは小学館とやる。そうなってますから、「そこのところをちゃんと欧米なみにやれよ」と言われても、じゃあ、東野圭吾さんはどこの1社がやるんだよ、という問題になる。それは同じようにはできないですよね。

電子化は急激には進まないだろう

だから結論としてAmazonの要求っていうのもそんなに言われてるほど無茶じゃなくて理解できなくはないけども、まあ、無理です、と、そう簡単にはいきません、という今までと何も変わらない結論になるんですよ。

で、日本の出版社は今ある、たとえば電子文庫パブリとかね、自前のサイトをもっと充実させていけばいいし、じゃあ、Amazonは方法としてはたとえば人気作家と直接交渉していくっていう、それもよくやる手ですからね、Amazonは。「印税70%出しますから」みたいなこと言って作家と直接交渉したりってのはアメリカでもやってますから、結局そういう同じ話になっちゃうんです。

電子書籍を必要とする人って本当にいるの?

でも何度も言ってきたんですけども、この電子書籍の問題ってなんか技術の問題のように言われますけども、この技術自体はもう15年前から日本にあるんですよ。で、やればできる、やろうと思えばできる状態で、もう既に10年以上たってるのに、で、いろんな取り組みもやっているのに、いまだに普及しない。で、僕は今までそれは日本の出版社の構造的な問題とか再販価格制度の問題だと思ってたんですけども、ここまで来るともうそれだけじゃなくて、誰も必要としてないからじゃないかとしか思えないですけどね。これだけやろうと思えばできる状態が続いているのにこれだけ普及しないっていうことは、望んでいない、特に主役は作者と読者ですからね、作者と読者が不在のまま取り分の議論とかばっかりしてる状況がいつまでも改善されないっていうのは、本当はそれほど必要じゃないからじゃないかなとしか思えなくなってきましたけどね。

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