ArtSaltのサイドストーリー

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不規則動詞になるための規則性

最近 Project Gutenberg に置いてあるような著作権が切れた昔の英語の小説を読むことが多く、不規則動詞の奥の深さに驚くと同時にうんざりしている。そこで「不規則動詞になる動詞には何らかの共通項があるのではないか?」と思い立ち、このエントリにその思いつきを書いてみようと思った。

buzz は規則動詞なのに burst が不規則動詞になるのはなぜか。push は規則動詞なのに put が不規則動詞になるのはなぜか。日本語ネイティブにとって英語の動詞変化は不可解である。この当然すぎる疑問に真正面から誠実に答えたい。

私事だが、恥ずかしながら個人的には bite, bit, lie, lay などをいまだに間違える。

bite (噛む) - 不規則変化
bite - bit - bitten (bit)
bit (馬に銜(はみ)を噛ませる) - 規則変化
bit - bitted - bitted
lie (嘘を言う) - 規則変化
lie - lied - lied
lie (横になる) - 不規則変化
lie - lay - lain
lay (横にする、産卵する) - 不規則変化
lay - laid - laid

不規則動詞の多くは中学校で教わる動詞であり、いわゆる「基本動詞」が多い。ほとんどの人はこれらを理屈抜きに丸暗記してきたと思う。しかし小説では以下のような滅多にお目にかかれない不規則動詞変化を目撃する。動詞自体はどうってことないがその変化の仕方に戸惑う。この気が遠くなるような変化に慣れないと洋書は読めない。

  • tread - trod - trodden
  • strive - strove - striven
  • stink - stank - stunk
  • sneak - snuck - snuck
  • slay - slew - slain
  • bid - bade - baden
  • cling - clung - clung
  • kneel - knelt - knelt
  • lean - leant - leant
  • weave - wove - woven

不規則動詞になる動詞には何か特徴があるだろうか。もしあるならその特徴を知ることは間違いを防ぐのに役立つはずだ。先に結論を簡潔に言ってしまおう。ある条件に当てはまればその動詞が不規則動詞である確率はおそらく99%以上だ。その条件とは何か。以下にそれを詳述する。

当然のことながら古ラテン語 (Old Latin) や古フランス語 (Old French) などに由来する動詞はこの議論から完全に除外される。このグループはフランスのノルマンディー公ギヨーム2世がイギリスを支配する時代(西暦1066年)以後にフランス語から入ってきた比較的新しい語が多い。そして100%近くが規則動詞であり過去形と過去分詞の接尾辞が "-ed" になる。具体的に言うと communicate とか export などがこのグループに含まれる。ラテン語やロマンス語から来た語には、「接頭辞の "com-" と "ex-" はそれぞれ『共同』『外部』という意味を持ち、それらが多くの語と組み合わさって多くの語を形成していきます…」のような非常に合理的なルールがあり、体系化しやすい。ゆえにこのグループは「英単語は語源で覚えよう!」みたいなお手軽ブログ記事でよく取り上げられるタイプの語でもある。

ラテン語やロマンス語から入ってきた比較的歴史が浅い動詞は語源を分析することで容易に体系化できる。英語が北欧諸語やドイツ語やオランダ語などと共有する祖先を「ゲルマン祖語 (Proto-Germanic) 」と呼ぶ。この祖先から受け継いできたカビ臭い動詞の変化には一言で言い表せるような法則性がない。

私が今回ここで試みるのはゲルマン祖語から古英語 (Old English) を経て現代英語 (Modern English) にまで受け継がれている比較的なじみが薄くて体系化が難しい不規則動詞に関する法則を明示することだ。そして仮にこの試みが成功すれば実践に役立つ。実践に役立たない英語語源トリビアは他のブロガー諸氏にお任せする。


特に裏づけはない個人的見解だが、ゲルマン祖語と古英語の流れを引き継ぐ動詞または北欧の言語に由来する動詞は以下の4グループに大別される。

グループその1

実例 - be, have, bring, give, fall, break, hold, bet, etc.

特徴

  • 音節が1個。
  • 母音が1個。

このグループに属する動詞はほとんどがゲルマン祖語と古英語の流れを引き継ぐタイプであり、北欧の言語から入ってきたタイプがわずかに混在する。

work はこのグループの条件に当てはまるゲルマン祖語由来の動詞であるにも関わらず規則的に変化する。しかし昔は work - wrought - wrought と変化する不規則動詞だった。flow も大昔は flow - flewo - flowen と変化していたらしい。learn も learn - learnt - learnt と変化する形をよく見かける。

古ノルウェー語 (Old Norse) 由来の kick はこのグループの上記条件に当てはまるが規則動詞になる。対照的に wrap はスカンジナビア語由来であるにも関わらず wrap - wrapped (wrapt) - wrapped (wrapt) と変化し、 wrapt という過去形及び過去分詞が許される。

stay と push はその綴りと発音と音節の数から受ける印象として大昔から英語にあるかのように感じるが実際にはフランス語から来た新参者だ。よってこのグループには含まれない規則動詞である。

このグループは音節も母音も1個という特徴があるが、 outsell, redo, undertake のように複合語として拡張することが可能だ。

英語学習者にとって重要なのは、不規則動詞になるのは事実上このグループだけである、という厳然たる事実である。

グループその2

実例 - bang, crash, zoom, thud, buzz, zip, beep, etc.

特徴

  • 音節が1個。
  • 母音が1個。
  • 擬音語である。

このグループに属する動詞はほとんどがゲルマン祖語と古英語の流れを引き継ぐタイプであり、北欧の言語から入ってきたタイプがわずかに混在する。特徴が上述の「グループその1」に似ているので不規則動詞になるだろうと勘違いしやすい。しかし実際にはすべて規則動詞であり不規則動詞はひとつもないと思う。グループその1に擬音語らしいものはあまりないが、グループその2は擬音語である。ゆえに両者の区別はそれほど困難ではない。

グループその3

実例 - fizzle, tremble, fasten, rustle, tackle, bundle, etc.

特徴

  • 音節が2個。
  • 母音が1個。
  • 第1音節にストレスを置く。
  • 第2音節の発音が「子音 + [l] 」または「子音 + [n] 」である。

このグループに属する動詞はほとんどがゲルマン祖語と古英語の流れを引き継ぐタイプであり、北欧の言語から入ってきたタイプがわずかに混在する。擬音語と思われる語が若干ある。このグループに不規則動詞はひとつもないと思う。

グループその4

実例 - chatter, twitter, whisper, quiver, shiver, shatter, wonder, etc.

特徴

  • 音節が2個。
  • 母音が2個。
  • 第1音節にストレスを置く。
  • 第2音節の発音が「子音 + [ər] 」である。ただし動詞の後ろに接尾辞 "-er" を付けて行為者を示す語(teacher, runner, speaker など)を除く。

このグループに属する動詞はほとんどがゲルマン祖語と古英語の流れを引き継ぐタイプであり、北欧の言語から入ってきたタイプがわずかに混在する。実例を見れば誰もが気づくように、擬音語または擬音語と思われる語が非常に多いのが特徴だ。このグループに不規則動詞はひとつもないと思う。

refer は第2音節にストレスを置く動詞である。よってこのグループには含まれない。そして refer は古フランス語から来た動詞なのでそもそも今回ここで議論する対象ではない。


結論

以下のふたつの条件を満たす動詞は99%ぐらいが不規則動詞である。

  • 音節が1個である。(必然的に母音は1個になる)
  • 擬音語ではない。

実例 - be, have, bring, give, fall, break, hold, bet, etc.

ラテン語やロマンス語に由来する動詞について言えば、ほぼ全部が規則動詞であり例外は quit など極めて少ない。「音節が1個であり、かつ母音が1個であり、かつ擬音語ではない」という上記条件を満たしてもほぼ100%が規則動詞である。

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