ArtSaltのサイドストーリー

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アメリカのSNSが日本で成功するには何をすべきか

先月(2013年8月)のことだが、日本人とTwitterとFacebookをめぐる興味深い考察のリンクがTwitterで語学クラスタを中心に出回った。「なぜ日本人はFacebookよりもTwitterが好きなのか?」という問題。
Why The Japanese Love Twitter But Not Facebook ⚙ Co.Labs ⚙ code + community

勘違いしてほしくないのだが、内容は日本人を持ち上げているものではなくFacebook好きな西欧人の痛いところを突いた記事である。

これを書いたテイラー・ベックさん (Taylor Beck) は日本に住んでいたことがあり、京都セントルイスの神経科学の研究所で記憶と夢と日本語を学んだ人だ。読んでもらえればわかると思うけど、日本のサブカルチャーに関する知識は深い。

日本人とTwitterとFacebookをめぐる論考は大体出尽くしているし、ベックさんのブログ記事にも特に新しい視点があるというわけではない。しかし読み物として面白いし、具体的なデータが非常に豊富であり、きちんとした出典も数多く明示している。

そこで発作的にこのブログで日本語に翻訳して転載したいとベックさん (@taylorbeck216) に申し出たところ、快く応じてくださった。以下はテイラー・ベックさんの "Why The Japanese Love Twitter But Not Facebook" の全文翻訳である。誤訳を見つけた人、連絡してくだされば幸いです。

テイラー・ベックさん、ありがとうございます。


今月(8月)達成された新記録でわかるように日本ではTwitterの人気が高い。しかしFacebookの人気はそれほどでもない。アメリカの製品開発者はアジアのTwitter人気から何を学ぶべきか。

日本人はオランダ人に次いでTwitterの更新頻度が高い。Twitterで最もよく使われる言語は英語、そして2番目は日本語である

そして今回の新記録に関するニュース。それによると、最も多くツイートされた話題はスポーツイベントでもセレブのおめでたニュースでも選挙でもない。最も多くツイートされたのは日本のテレビで放映されたアニメの中での爆発シーンだった。

日本は変な国だ」。こう言うのは Slate の Will Oremus 氏。西欧人から見ると日本人のTwitterは異様である。今回の出来事は、なぜTwitterは日本人に受け入れられたのか、なぜFacebookは西欧人に受け入れられたのか、という問題を提起している。

TwitterとFacebookの日本をめぐる戦い

2008年。Twitterは日本に登場するとすぐに定着した。しかしFacebookは日本で負け続けている。このSNSの巨人は1年前にようやく日本のSNSの巨人Mixiに追いついたが最近は形勢があまり良くない。日本人がSNSに望むものは他の国の人たちのそれと何が違うのだろうか。

Twitterユーザーは自己主張をあまりしない (self-efface) 。他方Facebookユーザーは謙虚を装ってはいるが実際には自慢話ばかりしたがる (humblebrag) 。Facebookユーザーの行動は日本文化では不作法とされる。日本人はアニメやゲームや音楽などに夢中になっているとき世界とのつながりを感じるが世界に向けて名前と顔を出すことは好まない。アジアのSNSはずっと以前からこのことを知っている。西欧のSNSもこのことを知っておいたほうがいい。

日本語を話す人はたったの1億人 - それでも日本語のTwitterは世界一

今月Twitterはまたしても日本人が新記録を打ち立てたと発表した。宮崎駿監督の1986年の作品「天空の城ラピュタ」が8月2日テレビで放映された。このときのクライマックスのシーンで最も数多くのツイートが発せられ、世界新記録になったのだ。

8月2日。「バルス」という魔法の言葉が空飛ぶ城を破壊するのと合わせて143,199ツイートがポストされた。同時にこれまでの1秒あたり33,388ツイートという記録も破壊された。破られた古い記録のほうは2013年1月1日のものだがこれはタイムズ・スクウェアで記録されたものではない。この記録もまた東京で作られたのだ。「天空の城ラピュタ」のフィナーレに合わせて「バルス」という言葉を無差別爆撃のようにポストする行為は2003年の2ちゃんねる(日本の電子掲示板)で始まった。これは「バルス祭り」とか "destruction festivals" と呼ばれている。

日本は1秒あたりのツイート回数でこれまで4回の新記録を出している。内訳は2010年ワールドカップでのカメルーン戦 (2,940ツイート) 、デンマーク戦 (3,283) 、2011年女子ワールドカップの決勝アメリカ戦 (7,196) 、そして2011年「天空の城ラピュタ」放映 (8,868) である。2009年6月25日マイケル・ジャクソンが亡くなったとき1時間に100,000ツイートが流れ、Twitterのサーバーはクラッシュしてクジラ (Fail Whale) が現れたが、今月の143,199ツイート/秒に比べればどうってことないものだった。

Twitterはなぜ日本でホットなのか

日本語の文字はアルファベットに比べるとはるかに多くのことを140字以内で言い表せる。たとえば "international" を意味する "kokusai" は日本語の文字で「国際」と書く。たった2文字だ。同時にこれは中国でTwitterが受けている - 政府により禁止されてはいるが - 理由でもある。日本の漢字システムは1,945の文字から成り、現代中国の祖先から受け継いだものだ。

アニメとゲーム好きでプログラマーでもある Yougakudan_00 さんはこれまで37,281,273ツイートを発している。彼の発言を全部つなぎ合わせると約1,887,778ページになる。これは「白鯨」日本語版の3,000倍以上、小説 "Infinite Jest" の1,749.5倍、村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」の2,000倍の量になる。

日本人はニュースの拡散よりもソーシャライズするツイートが多い。2011年にオランダで発表された論文によると、ハッシュタグを含む日本語ツイートはわずか4%であり、これに対してドイツ語では25%、英語では14%がハッシュタグを含むツイートである。ハイパーリンクを含むツイートについても同様の結果が出ていて、ドイツ語では半分、フランス語では37%、英語では30%であるのに対して、日本語ツイートでハイパーリンクを含むのはわずか11%である。他方メンション(訳者注:ここで言うメンション - mention - は公式RTとリプライを合わせた数字だと思われる)について言うと、日本語では半分近く、インドネシア語では77%がメンションであるのに対して、ドイツ語では28%、スペイン語では24%、そして英語では50%がメンションである。同様に日本語ツイートの4分の1がリプライ、英語ツイートでも同じく4分の1、対してドイツ語のリプライはたったの14%だ。

論文の執筆者が言うように、Twitterでの行動は少なくとも2つに分類される。その2つとは broadcasting channel と personal messaging である。ドイツ人は体系的なアナウンスメントの発信者 (broadcasters of structured announcements) であり、典型的な西欧人と言える。日本人はパーソナルな情報運び人 (personal messenger) であり、プライバシーに対する姿勢はアジア人の典型である。

サイバースペースのアニメアイコンたち:リア充の自慢大会ではなくゲームのためのSNS空間

2007年。日本でTwitterを発見したのは MIT MediaLab の所長を務める伊藤穰一 - Twitterの初期の投資家 - をはじめとする人たちである。Twitterはごくわずかな英語を使えばよく、スペースをはさんで文末にピリオドを添えれば日本語のメッセージも可能だった。Twitterが日本ですぐに受け入れられたもうひとつの重要な要因は、Mixiと同様にユーザーが本名と顔写真の代わりに偽名とアニメアイコンを使用できたことである。

日本に限らずアジアのソーシャル・サイトは The Sims のようなゲーム、あるいは My Space のような音楽と絵の共有が人気だ。

1998年に韓国に作られた Cyworld はFacebookよりも5年早く "mini-homepi" (ミニ・ホームページ) のような機能を実現していた。mini-homepi はFacebookのウォールまたはタイムラインのようなものだ。しかしCyworldはむしろゲーム・サイトに近い。ユーザーはそれぞれアバターを持ち、ドングリで自分のページを飾る。バーチャルのドングリは本物のお金で売り買いできる通貨であり、BGMやピクセル画像の家具やバーチャル電気器具を買うのに使われる。同じようにボーカル・アンドロイド「初音ミク」のサイト MikuBook では歌姫ミクの音楽のサンプル、歌詞、アニメのミュージックビデオ、コスチュームの共有が行われる。IDはアニメアイコンと偽名の組み合わせだ。そこにあるのはリアルな生活の拡張ではなくバーチャルな生活の拡張である。

「Mixiの顧客が大事にしているのはリビングルームのようなソーシャルスペース」。Mixi創設者であり代表取締役社長であった笠原健治は2011年のBloombergでこう語る。「プライベートであること。快適であること。そしてパーソナルであること」。

Twitterはまさにそれらの条件を満たしている。Facebookはそうではない。

日本のSNS:戦いの行方は流動的

Facebookは日本のネチズンの支持を得ることに苦労してきた。2011年1月東京にオフィスを構えたFacebookのマーク・ザッカーバーグはあることを試みた。それは何かというと、ユーザーが血液型 - 日本では血液型占いは星座占いのような地位を占めている - をポストできる仕組みだ。結局これはあまりうまくいかなかった。日本人はやはり自分の人格をあからさまに他者に見せつけるFacebookよりもアニメアイコンのMixiとTwitterを好んだのだ。

2011年2月Facebookはオンライン人口1億の日本で200万のユーザーを獲得するにとどまった。つまり2%の日本人にしか浸透しなかったということだ。ちなみにナミビアとニカラグアでは5%である。このときMixiは2,000万人 (20%) のユーザーを有していた。同時期のTwitterは1,000万人でFacebookの5倍。しかしこの流れにやがて変化が起きる。Facebook創立ストーリーを描いた映画 "The Social Network" が日本でアメリカに次ぐ収益をあげたのだ

話を2013年まで進めよう。gooリサーチの報告によれば、FacebookはTwitterよりもたくさんのユーザーを獲得した。Facebookは39%。Twitterは36%。Mixiは3位である。

日本のSNSでもうひとつの転換点になったのが2011年4月の東北の地震と津波だ。(訳者注:正確には3月)。このときわかったのは、通信ネットワークが途切れたときインターネットは緊急情報を素早く伝えるのに最も適した方法であることだ。ここで人々はオンラインでアニメのキャラクターではなく本当の名前を出すことが要求された。こうして日本人はMixiからFacebookへ移動を始めたのだ。

Twitterは東北大震災だけでなく "LINE" と呼ばれる新参のメッセージ・アプリからも追撃を受けている。NHNジャパン(韓国NHNの子会社)のプログラマーたちによって2011年6月に始まったLINEは地震の影響を受けたもののわずか1年後には5,000万のユーザーを得ている。2012年6月3日LINEの代表取締役である森川亮は「ホーム」と「タイムライン」という新たな機能を発表した。ユーザーはこれで各々の最近のdevelopmentを友人や家族とシェアできる。最もユニークなのは、ユーザーがアニメの動物を模した絵文字のようなかわいらしい「ステッカー」を買ったり共有できることだ。ステッカーはそれぞれの国の特徴に合わせており、インドネシアのそれはラマダンがテーマになっている。また韓国のステッカーは徴兵制に合わせたものだ。今週のウォールストリート・ジャーナルによると、LINEユーザーの80%は日本国外にいる。タイに1,800万人、台湾に1,700万人、スペインに1,500万人。そして日本は4,700万人。

Facebookによれば、日本では2,100万人がFacebookを使っている。今年6月の報告書では半年で19.5%の減少だが、8月14日付の日経新聞によるとこれは良い数字だという。2,100万人のうち86%がモバイル(世界平均は71%)でアクセスしていて、そのうち72%が毎日Facebookを使っている。この数字は世界平均57%よりはるかに高い。

それでもFacebookはLINEを意識している。来年には日本での広告を倍に増やし、テレビ広告を開始したいと思っている。

Facebookを un-friend するアジア人 - シリコンバレーがここから学ぶべきこと

日本におけるFacebookの最新の達成度を明記したソースはFacebook自身のソース以外には存在しない。しかしGuardian紙によれば、Facebookは日本などで退潮傾向にある。特にデスクトップでの退潮は著しい。日本のプレスによれば、これは単にモバイルへの移動ではなくSNSにおける西欧風の自己中心主義と言うべきものに対する失望の表れである。

ジャパン・タイムズの最近の調査によると、Facebookを使うと「つながり」を感じるものの満足度は下がるという。The Tokyo Times に掲載された、Facebookに対する日本人の失望とLINEに対する熱狂ぶりを紹介しよう。

「最近のタイムラインは同じ人たちがリア充ぶりを自慢する場所になってるだけ」。東京のあるFacebookユーザーはこう言う。「もう見たいとは思わない」。

また他のユーザーは、「LINEは使いやすい。Facebookはもううんざり。あまりにも面倒」とも言う。

日本のSNSユーザーたち - おそらく東アジアの他の国のユーザーもそうだが - はSNSのプラットフォームに別の何かを求めているように思われる。たとえば自己宣伝よりもコンテンツの共有など。ハーバード出身のやり手とかスティーブ・ジョブズのような個人主義のパイオニアたちによって作られたApple、Google、Facebookのようなシリコン・バレーのスタートアップは自分たちの主張やスタイルに関してあからさまにアメリカ的だ。私の信ずるところによれば、アメリカ産SNSのこういう部分が過去に日本人をFacebookから遠ざけていたのだと思う。そしてこういう部分が今後も日本人をうんざりさせる可能性があると思う。

「ジョブズって自分以外のことは何も考えないの?」

かつて私は日本人の友人にスタンフォード大学卒業式でのスティーブ・ジョブズの有名なスピーチ - "Stay hungry, stay foolish." - について熱く語ったことがある。ジョブズが学校をドロップアウトしたこと、外国に行ったこと、LSDをやったこと、夢を追い続けたこと。しかし私はそのときの彼女の言った言葉がいまだに忘れられない。「彼の家族はどうなるの?」。彼女の関心はジョブズではなく家族のほうにあった。「ジョブズって自分以外のことを考えたことあるの?」

Facebookはある程度の勝利を日本で得たかもしれない。しかしこの戦いをどう乗り切っていくかは今後も見ものである。勝ち続けるにはLINE、Mixi、CyWorldのようなアジアのライバルたちを注視したほうがいい。非西欧人がどのようなつながりを得たいと思っているのかを注意深く観察したほうがいい。アジアではナルシシズムはクールではないのだ。

FacebookInstagramのナルシシストである私たちも自分のヘソばかり見ていないでたまには顔を上げて周りを見回したほうがいい。もしも私たちが自分自身のことよりも自分が話している相手のことにもっと関心を向けるなら、私たちとは違う方法でコミュニケーション・ツールを使う人たちが世界中にいることがわかるだろう。あるいはそこに加わりたいとさえ思うようになるかもしれない。

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