ArtSaltのサイドストーリー

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ニュージーランド英語の発音の特徴

今やってる英語リスニング教材にニュージーランド人たちが登場するので好むと好まざるにかかわらずニュージーランド英語の発音の特徴を学ぶはめになった。体系的にまとめるほど暇ではないのでNZ英語の特徴を箇条書きにしとく。

すべて母音の比較。比較対象はアメリカ英語。文中にたびたび苦し紛れの日本語音訳が登場する。英語の母音は20種類から30種類ある。日本語の母音はわずか5種類。ゆえに日本語の音訳には限界がある。しかし発音記号にも限界があるので必要に応じて日本語音訳を使った。

音声はすべて「英語伝」様からダウンロードしたものです。私はこれを使って英語を学習しています。英語伝の関係者の皆様にお礼を申し上げます。

耳内部解剖図
File:Ear-anatomy-text-small-en.svg - Wikipedia, the free encyclopedia

曖昧母音への変化、母音の脱落

isn't it
[iznt it] (US)
[iznət] (NZ) - Hey, how about the weather in Mexico City? That's where Jamie is at the moment, isn't it? (mp3)
bit
[bit] (US)
[bət] (NZ) - I was a bit worried that I might have gone overboard. (mp3)
ten
[ten] (US)
[tin] (NZ) - We don't have to be at the confenrence until ten-thirty. (mp3)
him
[him] (US)
[həm, hm] (NZ)
them
[ðim] (US)
[ðəm, ðm] (NZ)
not
[nɔt] (US)
[nət] (NZ) - That's the one. It may not look like it, but he's the managing director of Jazznet. (mp3)
academic
["ækəd'emik] (US)
["əkəd'imik] (NZ)

言語学者たちが勝手に作った用語に興味はないのでシュワ (schwa) なんて言葉は知らない。ここで言ってる曖昧母音化とは that [ðæt] が [ðit, ðət] に変化、あるいは him [him] が [həm] に変化することを指している。曖昧化がもっと進行すると him [hm], them [ðm] のように母音自体が消失する。

tin のように聴こえてしまう ten の音に慣れるのには苦労した。

語尾のR音が脱落して母音で終わる

chair
[tʃeər, チェエル] (US)
[tʃeə, チェア] (NZ) - Oh, don't worry. Here it is, on the chair. (mp3)
here
[hiər, ヒウル] (US)
[hiə, ヒア] (NZ)
weather
[w'eðər, ウェドゥル] (US)
[w'eðə, ウェダ] (NZ)

ニュージーランド人の英語は広い意味ではイギリス英語に含まれるので語尾のR音がほとんど聴こえない。あるいは完全に消失しているのかもしれない。なのでアメリカ人の here をあえて日本語に音訳したものが [ヒウル] ならニュージーランド人の here は [ヒア] 。同様に weather はそれぞれ [ウェドゥル], [ウェダ] のように聴こえる。

母音の違い - [ɔ:] VS [ə:]

all
[ɔ:l] (US)
[ə:l] (NZ)
call
[kɔ:l] (US)
[kə:l] (NZ) - I mean, I'm almost thirty and I still haven't found my calling in life. (mp3)
always
['ɔ:lweiz] (US)
['ə:lweiz] (NZ)

極端に言えば all [アーウ] が [ウーウ] になってしまう現象。

母音の違い - [ər] VS [ə:]

serve
[sərv, ソルヴ] (US)
[sə:v, スーヴ] (NZ) - Well, it says here, we have to put a scoop of ice cream into each serving dish... (mp3)
dessert
[diz'ərt, デゾルッ] (US)
[diz'ə:t, デズーッ] (NZ) - ... and put them in the freezer until the dessert is done. (mp3)

発音記号で違いを表すのが非常に難しい例。R音が残っているか脱落しているかの違いだけでなく [ə] の音がかなり違う。アメリカ人の serve が [ソルヴ] または [サルヴ] ならニュージーランド人の serve は [スーヴ] という感じか。

母音の違い - [i:] VS [ei]

meet
[mi:t] (US)
[meit] (NZ) - So what time do you want to meet tomorrow? (mp3)
perceive
[pərs'i:v] (US)
[pəs'eiv] (NZ)

恥ずかしながら meet を mate と聴き間違えたことが何度もある。アメリカ英語になじんだ人はNZ人の meet を mate と聴き間違える可能性が非常に高いと思う。meet は「待ち合わせする、鉢合わせする」、mate は「交尾する、交尾させる」だからとんでもない勘違いだ。

NZ英語の meet の発音を上では [meit] 、perceive を [pəs'eiv] と表記しているけど少し無理がある。[エイ] というか [ウイ」というか。

母音の違い - [ə] VS [ə]

waz
[wəz] (US)
[wɔz] (NZ) - What was Julia Roberts like?... Was she pretty? (mp3)

発音記号だとアメリカ英語もNZ英語も同じ [ə] なのに前者の was が [ワズ] なら後者の was は [ウォズ] のように聴こえる。非常に微妙な違い。

母音の違い - [i] VS [ə]

jacket
[dʒ'ækit] (US)
[dʒ'ækət] (NZ) - And who's that hunk over there in the jeans and leatehr jacket? (mp3)
isn't it
[iznt it] (US)
[iznət] (NZ) - Hey, how about the weather in Mexico City? That's where Jamie is at the moment, isn't it? (mp3)

ニュージーランド人の jacket をあえて日本語に音訳すると [ジャカ]、isn't it は [エズナ]。これも非常に特徴がある発音。


NZ英語のおかげで "is not" が "isn't" に変化する理由がわかった

こうして箇条書きしてみるとNZ英語には全体的に何かしらの統一した規則性があることがわかるけど難しい話は他の人に任せる。ここではひとつだけ思いついたことを書きつらねてみる。

前述した not [nɔt] の発音が [nət] に変化する現象は非常に興味深いと個人的には思っている。彼らニュージーランド人のしゃべり方は英語の発音が省略される歴史的過程を示しており、興味深い。

  • he is not
  • he's not
  • he isn't

"he is not" が曖昧化して "he's not" になる理由は誰でも理解できると思う。だがそれが "he isn't" になる理由を説明するのは非常に難しい。個人的にも長年の謎だった。

"is not" は2音節だから強弱の順列は以下の4つのうちのいずれかになる。

isnot
STRONGSTRONG
STRONGweak
weakSTRONG
weakweak

たとえば "He is not a stranger." という1個の文を例に考えてみよう。文脈を無視して*この文だけ*をしゃべる人はほぼ全員 not の部分にストレスを置くだろう。そして is の部分にはほとんどストレスを置かないだろう。上記テーブルで言えば "weak STRONG" という順列だ。そしてそれは正しい。厳格なイギリス人英語教師たちだって同じ意見だろう。だけど実際の会話ではそうとは限らない。

"is not" としゃべるとき is を弱く not を強く発音し続けていたのではブリテン島の英語話者たちは "is not" を "isn't" に変化させることが永久にできなかったはずだ。英語史の中に isn't という省略形が誕生する直前に not にストレスを置かずに発音するという過程があったと考えるのが妥当。

Heisnotastranger.
STRONGweakweakweakweak weak

実際の会話では最初の音節 "He" に最大のストレスを置き、後続の "is not a stranger" がすべて弱く曖昧になることもある。そういう喋り方だと not は [nɔt] ではなく [nət] に変化しやすい。さらに曖昧化が進行すれば母音が脱落して not は [nt] になる。このようにして "is not" は "isn't" [iznt] に変化したのだろう。

  • [iz nɔt] -> [iz nət] -> [iznt]

これと全く同じ経緯が aren't, haven't, wouldn't, shouldn't... などにもあったと思われる。"are not" は "are" を強く "not" を弱く曖昧に発音しても間違いではないのだ。

arenot 
weakSTRONGcorrect
STRONGweakcorrect

結論として言えるのは、英語のリスニング訓練をやるときは日本以外の国ではほとんど通用しない発音記号なんてのはあまり信用しないほうがいい、ということ。ほとんどの語学本が「"is not" は not の部分を強く発音するのが正しい」なんて脳天気に言ってるけど、言語にまつわる法則とか現象には数多くの例外があることを知っておくことが大事。そのような例外をたくさん知りたければ1個の文だけをオウム返しに繰り返す学習ではなく複数の話者が会話する簡単な寸劇 (skit) になっている教材を選んだほうがいい。NKKラジオでやってる「英会話」とかね。

ある程度は音声学(と言うのかな?)の理屈を学ぶことは必要不可欠だけど最終的には自分の耳を信じるべき。訛りがきついニュージーランド英語でリスニングの訓練をやるのはバカらしいと当初は思っていたけど今では逆だ。NZ英語を学んでよかったと本気で思っている。

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