ArtSaltのサイドストーリー

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英語の副詞 just の意味を完全に説明する

英語の just の元々の意味は「直立」。ここから「正当性」という意味が派生し、やがて「少しだけ」という副次的な意味が生まれた。この語にまつわる豊かで深い意味を例文つきですべて説明する。

たけのこの里

英語の副詞 "just". たった1音節の単純な言葉なのにその意味は多様で深い。既に「ジャスト」は日本語化しているのに英語の "just" をどう和訳したらよいか悩むことがある。小説を読んでいるときに「なぜ、この文脈で、この文で、 "just" が使われているのだろう?」と理解に苦しむことが多い。

しかし数日前のことだが、 "just" の語源が古フランス語とラテン語であり、元々の意味が "upright" (直立) であることを偶然知ってひらめいた。この語の元々の意味は「直立」。そうか、わかった。"just" にはいろんな意味、いろんな訳語が与えられているけど、すべては「直立」から導き出せるのだ。

3つの例文を下に示す。さまざまな意味と訳語が与えられる "just"。ここから "just" の共通した概念というか統一した原義を見出すのは非常に困難に思える。

  1. I just ate breakfast. (朝食をさっき済ませたばかりだ)
  2. I just can't! (無理! どんなに頑張っても無理!)
  3. Just in time. (ぎりぎり間に合った)

#1は過去のことを言い表す表現。"just" がないといつの過去のことかわからないが、 "just" があると「つい最近」の過去である感覚が生まれる。ではなぜ大昔の過去ではなく「つい最近の過去」という意味になるのだろう?

そして#2は別に過去のことでもなんでもない。ここでの "just" は "can't" を強調しているのだろうか? なぜ "just" を加えると「どんなに頑張っても…」という感覚が出てくるのか?

最後の#3. ここで使われる "just" に関しては、なぜ「ぎりぎり」の意味を獲得するようになったのか皆目見当が付かない人が多いと思う。

これら3つの "just" の概念がバラバラに見えるのは日本語訳のせいもある。しかし実際にはこれらすべてに共通する概念というか感覚があるのだ。それは何かと言うと「直立」という原義であり、そこから派生した「正当性」と「少しだけ」という感覚である。この記事を読めば上記3つの文の "just" をすべて理解いただけると思う。

Online Etymology Dictionary から "just" の語源学的説明を引用。

just (副詞)
14世紀末期に生まれた語。意味は「道徳的にまっすぐ (morally upright), 神の目から見て正しい (righteous in the eyes of God); 正当化しうる (justifiable); 公平 (equitable), 偏らない (impartial), 公平 (fair); 決まりごとに従う (conforming to rules)」である。また "just" には「正確さによって示される、または特徴づけられる; 正確, 正確な寸法」という意味もある。"just" の語源は "just, righteous, sincere" を意味する古フランス語 "juste" である。もうひとつの語源はラテン語 "iustus" であり、これは英語で言うと "upright, righteous, equitable; in accordance with law, lawful; true, proper; perfect, complete" という意味である。

Online Etymology Dictionary

just の意味で悩んだらタケノコを思い浮かべよう

"just" の本来の意味であるとされる「直立」。ここから「地面から少しだけ顔を突き出している筍(タケノコ)」の絵が思い浮かぶ。この筍は地面に対して垂直に、そして天の方向を目指して、ほんの少しだけ突き出ている。「垂直に立つ」姿勢から「正当性」の意味が出てくる。ここまでの理屈は誰でも容易に導き出せるだろう。そして筍が地面から「ほんの少しだけ」突き出ていることが重要だ。ここから "just" には「ほんの少しだけ」という意味が育まれたのだろうと自分は考えている。

語源学的に言うと英語の "just" はラテン語の "iustus" から来ており、それが古フランス語 "juste" を経由してブリテン島の英語に入った。だがローマ人もフランス人も "just" に「少しだけ」という意味が派生しようとは想像しなかっただろう。この「多くではなくほんの少しだけ」という感覚はおそらくイギリス人のオリジナルである。

以下に、さまざまな使われ方をする "just" の例文を主として英辞郎から抜き出し、解釈をこころみた。牽強付会かもしれないが、この語のすべての使い方は「正当性」と「ほんの少しだけ」だけで解釈できる。このまとめが "just" の奥深く多様な意味を100%網羅していると言うつもりはない。だが99%はこの説明で行けると思う。迷ったら地面からピョコンと少しだけ顔を出しているタケノコの姿を思い浮かべよう。

bamboo sprout
Courtesy of Free Images - Pixabay

just を「正当性」の意味で使っている例文

「実に、まさに、全く」

These are just the facts. (これらは紛れもない事実である)
「正当性」から派生した意味「実に、まさに、全く」で解釈できる例文。
That's just what I want. (それこそ私が求めていたものです)
これも「正当性」で解釈可能。訳語としては「実に、まさに、全く」。
It's just the same with our family. (わが家とてまったく同じことだ)
"just" は "the same" を修飾。
"just" に続く言葉が「類似」に関するもの (the same, like, etc.)であればその後続の語を「正当性→強調」の意味で修飾することが多い。"just like ..." (...と全く同様に) という表現もある。

just を「少しだけ」の意味で使っている例文

「単に、ちょっと、ただ~だけ、たった~だけ」

I wish I could see it just once. (一度でいいから見てみたいものです)
10回20回ではなく1回だけでいいという感覚。
"just" に続く言葉が「数、量または大きさ」に関するものであればその後続の語を「少しだけ」の意味で修飾することが多い。
It's just ten o'clock. (まだ10時だ)
11時でも12時でもなくそれより少ない10時であることを示唆。
このブログを読む人なら当然ご存じだろうが、「ちょうど10時」を英語で言うなら "It's exactly ten o'clock." であり、"just" は通常使わない。

「ちょうど、~だけ、今しがた」

I just ate lunch. (お昼を食べたばかりです) (俺はただランチを食べただけだよ)
過去の出来事に言及する文。"just" はアメリカ英語の過去時制とイギリス英語の完了表現でよく使われる副詞である。
過去と言っても数十億年前から1秒前まで幅広い。"just" が付加されることで「長時間さかのぼる過去」ではなく「数秒だけ(少しだけ)さかのぼる過去」の出来事であることがわかる。
ただし "I just ate lunch." の意味はアメリカ人なら「今ランチを食べたところです」だが、上述した理由によりイギリス人は「ランチを食べただけです」と解釈するかもしれない。前者の "just" は時間的な「ほんの少しだけ」、後者は空間的な「ほんの少しだけ」。
Just now. (ついさっきのことだよ)
これも「少しだけ過去にさかのぼる」感覚がある。「今」だけど「数秒前の今」。

「何だただの~か、つまらないことに」

Oh, it's just you. (なんだおまえか)
「あなたは始皇帝でもなく私の命の恩人でもなく普通の人だよね」という感覚がある。これも "just" の「多くではなく少しだけ」という意味で解釈できる。

「辛うじて、ようやく」

I only just managed to catch the last bus home. (私は辛うじて最終バスに間に合った)
話者がバス停に到着した時刻とバスが発車した時刻の間が長かったのではなく、非常に短く小さかったことを感じさせる文。

「要するに、一体、どうでもいいけど」

Just how are you going to do that? (だーかーらー、どうやってそんなことするつもりなの?)
別に多くを語らなくていいから「どうやってそんなことするつもりなの?」という1個の疑問に答えてくれればよいのだ、という感覚。

「質問はいいから、黙って、つべこべ言わずに、とにかく」

"Wh-what happened?" "No time to explain. Just run!" (「な、何が起きたの?」「説明している暇はない。とにかく逃げろ」)
「100時間不眠不休で働いてくれ」とか「私に1億円くれ」とか大きなことを求めているのではなく「走る」という小さな行動でよいのだ、という感覚がある文。

「とてもじゃないが」

I just don't seem to hit it off with him. (彼とはとてもじゃないがうまが合いそうにない)
「彼の奴隷として働く」とか「彼に高級料理をおごる」という大きなことをやるのは無理。それどころか「彼と仲良くやる」という小さなことさえ無理という感覚。
I just can't! (とんでもない! 無理よ!)
100%とか30%やれるどころか1%すら無理、と解釈可能。
細かく説明すると、"just" は "can't" を修飾しているのではなく "can" を修飾し、文の途中までは「少しだけ可能」 (just can) という意味になっている。だが後続する "not" が "can" (可能) を否定し、全体として「1%すら無理」という意味になる。そういう構造の文である。

「何もしないのに、自然発生的に、成り行きで」

I didn't mean it. It just happened. (わざとじゃないんだ。なんか知らないけど、そういうことになっちゃったんだよ)
高い確率でそういうことになったのではなく低い確率(少ない確率)でそうなった、という感覚。つまり必然(100%近い確率)ではなく成り行き。
He just happened to sit next to me. (彼はたまたま私の隣に座った)
私の隣りに座る確率は高くなくて低い確率(少ない確率)だったという感覚がある。言い換えると「偶然」(1-2%の確率)。

just が修飾するのは必ず後続の語である

最後にもうひとつだけ。Twitter検索したら下のような文を見つけた。日本語にすると矛盾している内容に見えるけど、英語の語順を正しく知れば矛盾していないことがわかる。

I want to ride a roller-coaster someday but they just seem too scary to me. (いつかジェットコースターに乗りたい。でもちょっと怖いかも)
"just" が修飾しているのは "seem" 。他方 "too" が修飾しているのは "scary" 。つまりこの文は「ジェットコースターに乗るのはすごく (too) 怖いけど、怖いと感じる行為自体は少しだけ (just) です」という構造になっている。日本語にするとわかりにくいが、"just" が他の語を修飾するときは必ず前からであり、"too" が形容詞と副詞を修飾するときも必ず前からであることを押さえておけば文の構造を正確に把握できる。

これは余談になるが、英語の副詞の修飾に関する語順は意外に統一されていない。

  • "just" は必ず後続の語を修飾する。
  • "too" は原則として後続の語を修飾する。文全体を修飾するときは "too" 自体が文の最後に置かれるのが普通だが主語の直後など途中に置かれることも多い。
  • "only" は先行する語を修飾することもあるし後続する語を修飾することもある。何が修飾されているかを把握するには文脈で判断するか、会話の中ならストレスが置かれる場所を聴き取る必要がある。
  • "not" は助動詞に関しては必ず後ろから修飾し、それ以外の品詞に関してはほぼ例外なく前から修飾する。

その他

"You're just beautiful." は「あなたは本当に美しい」とも「お前は顔が美人なだけで他はひどいね!」とも解釈できる。どちらの意味なのか判断するには文脈に頼るしかない。

"just" を強調する語は "only" であり、 "really, very, a lot, much" などは使えない。"only" は通常は "just" を前から修飾する。例文→ You still only just turned 21. (あなたはまだ21歳になったばかり).

日本語では「30分ジャスト」という表現が許されるが、以下のように英語の "just" は必ず前から修飾する。

There were two just cats. ←誤り
There were just two cats. ←"just" は "two" または "two cats" を修飾していると考えるべきなのでこの語順が正しい
Like just you. ←誤り
Just like you. ←"just" は "like" を修飾していると考えるべきなのでこの語順が正しい
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