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定冠詞 the が必要な最上級と不要な最上級

英語の形容詞と副詞には最上級がある。一般的に最上級は定冠詞 the を伴う。しかし稀に the が欠落した文も見かける。なぜ最上級は the を必要とするのか? そして、なぜ the を必要としない最上級があるのか?

grammar
Courtesy of Pixabay

定冠詞 the が必要な事例。

  • (1 a.) That's the highest mountain in the country.
  • (1 b.) He was the eldest of the three siblings.

(1 a.) は「形容詞の制限用法」と呼ばれるもの。この文の形容詞の最上級に the が必要になる理由は、形容詞の直後に名詞が来るからだ。定冠詞 the を使って "the highest mountain in the country" と記述することによって「同国で一番高い山」が特定される。

では (1 b.) はどうか。これは「形容詞の叙述用法」なので "the eldest" の直後に名詞が来ない形だ。言い換えると、定冠詞 the が形容詞 eldest を修飾している形だ。英語を学んだ者なら誰もが一度は疑問に思うはずだが、なぜ冠詞が形容詞を修飾できるのだろうか? 考えてみれば不思議な話だ。

しかし (1 b.) の eldest の直後に名詞 sibling を置いたらどうだろうか? これなら定冠詞 the は eldest を修飾するのではなく sibling を修飾する格好になる。

以下にまとめよう。

  • (2 a.) He was the eldest of the three siblings.
  • (2 b.) He was the eldest sibling of the three siblings.

通常の形である (2 a.) は冗長な形である (2 b.) から eldest 直後の sibling を除去した形であると考えればよい。こう考えれば、「なぜ最上級は the を必要とするのか?」という本記事冒頭の疑問に答えることができる。

定冠詞 the が形容詞の最上級に付くのは形容詞の後ろに名詞が来るからである、という理屈がわかれば、以下 (3 a.) の文で the が不要になる理由もわかる。

  • (3 a.) The lake is deepest here. (湖はこの部分が一番深い。)
  • (3 b.) *The lake is the deepest lake here. (この湖はこの地域で一番深い湖だ。)

他方 deepest の後ろに名詞を置いた (3 b.) は文法的には100%正しいが (3 a.) とは意味が全く異なる。

(3 a.) のような形について「表現のための実践ロイヤル英文法」は以下のように説明している。

叙述用法で同一人[物]の性状を比較する場合は、ふつう the をつけない。

「表現のための実践ロイヤル英文法」(綿貫陽、 マーク・ピーターセン著、旺文社)

「ふつう the をつけない」ということは、 the を付ける英語ネイティブも大勢いるということだ。つまり「湖はこの部分が一番深い。」という意味で "The lake is the deepest here." という形を使ってもいい。

これは小さな補足だが、名詞の所有格及び代名詞の所有格 (my, your, his, her, their, its) は限定詞の範疇に入るので、同じく限定詞である the と並ぶことができない。よって下記 (4 b.) の "his the most boring …" という箇所は文法的に誤りであり、 (4 a.) の形だけが正しい。

  • (4 a.) According to her, Prof. Johnson's lecture yesterday was "his most boring ever."
  • (4 b.) *According to her, Prof. Johnson's lecture yesterday was "his the most boring ever."

ここまで形容詞の最上級だけについて述べてきたが、副詞の最上級についてもふれる必要がある。一般的に言って、副詞の最上級に定冠詞 the は不要である。あってもなくても良い。以下の (5 a.) と (5 b.) は両方とも正しい。

  • (5 a.) I like Bach the best.
  • (5 b.) I like Bach best.

副詞の最上級に the が不要である理由は前述した形容詞の叙述用法で説明した理由と同じだ。副詞の最上級の後ろに名詞が仮想的に存在することがありえないからだ。にもかかわらず副詞の最上級に the を付けるネイティブが多い理由は明確ではないが、おそらく形容詞の最上級に the が伴うルールに引きずられる形で定着してしまったのかもしれない。

これは副詞の最上級の問題に関連する小さな補足になるが、 "at least", "in the least", "at most" などの least と most は副詞の最上級ではなく名詞である。ゆえにこれらの無冠詞あるいは定冠詞付きの形に関しては本記事で考察しない。

最後に、本記事を書くにあたって参考にさせていただいた「表現のための実践ロイヤル英文法」から引用。

第19章 比較

228 B 最上級と the

(1) 形容詞の最上級

1. 限定用法の最上級には the をつける。

  • The Sahara is the largest desert in the world.
  • This wrench is the most useful of all my tools.
    ・ useful の次に tool を補って考える。

2. 叙述用法で同一人[物]の性状を比較する場合は、ふつう the をつけない。

  • Venus appears brightest just after sunset.

(2) 副詞の最上級

the はつけても、つけなくてもよい。

  • I remember him [the] most vividly of all my students.

「表現のための実践ロイヤル英文法」(綿貫陽、 マーク・ピーターセン著、旺文社)

229 絶対最上級

最上級を very (とても) の意味で用いることもできる。形容詞を修飾する場合、その後の名詞が単数形であれば、つける冠詞は the ではなく a(n) になり、複数形の名詞であれば冠詞はつかない。また、 most が副詞を修飾している文では、その意味は「とても」なのか「最も」なのかは文脈で判断するしかない。

  • Laurel is a most useful hedging plant because it puts up with dry sites.
    [単数形の名詞]
  • The boys were most eager participants in the training.
    [複数形の名詞]
  • The boys participated in the training most eagerly.
    [副詞を修飾]

「表現のための実践ロイヤル英文法」(綿貫陽、 マーク・ピーターセン著、旺文社)

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