ArtSaltのサイドストーリー

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もっと気軽に聴こう - レニー・トリスターノ

レニー・トリスターノ (Lennie Tristano)。
ついにこの人について書くことにした。

「トリスターノはよくわからん」「難解だ」とよく言われるらしいんだけど、それ以前に、この人のことはあまり語られていないのではないか、という気がする。
私に言わせれば、むしろ「難解だ」と言う人の考えがよくわからない。トリスターノはあまり構えず聴いてもいいと思う。
で、最初にとりあげるのは何にしようか、と考え、思い浮かんだのがこれ。

Lennie Tristano, Buddy DeFranco / Crosscurrents (Capitol)
recorded in New York City, 1949



かつて "cool" とか "cool music" とか "cool jazz" と呼ばれた音楽を象徴する1枚。
マイルズ・デイビスの「クールの誕生」 (Miles Davis / Birth of the Cool) ほどではないと思うけど、のちに米国西海岸で勃興するウェストコースト・ジャズに強い影響を与えたとされる1枚でもある。これを聴いて新しい音楽をつくっていこうと思った音楽家は非常に多かったはず。

… なんていうことを書くと、よけいにこの盤が疎んじられるような気がするけど、本当は気軽に聴ける(聴いてもよい)トリスターノの代表作。

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B面にはバディー・デフランコ (Buddy DeFranco) とビル・ハリス (Bill Harris) の演奏が収録されてて、レニー・トリスターノ・セクステットのデイトはA面のみ。
なぜ、このような歴史的な演奏がLPレコードのA面だけに収められているのか。トリスターノ自身の発言がその謎を解くヒントを与えてくれる ― このレコードのライナーノーツからArtSaltが翻訳 ― 。


1949年のCapitolのレコーディングで、あるハプニングが起きた。
私たちが通常のデイトをこなしたあと、ふたつのフリーな曲をやった。"Intuition" と "Digression" だ。
すぐにレコーディング・エンジニアがその場を立ち去った。A&Rマンは、私がばかなことをやっていると思い、その2曲分のギャランティーの支払いとリリースを拒否した。


"Intuition" と "Digression" はジャズ史上初のフリー・フォームによる演奏らしい。具体的に言えば、無調音楽
フリー・ジャズといったら、1950年代末期にオーネット・コールマン (Ornette Coleman) とかアルバート・アイラー (Albert Ayler) とかが手がけたものが有名らしいけど、それよりも早くフリー・スタイルのジャズがあったわけだ。
はっきり言って、私もこの2曲の演奏はよくわからない。

しかし、残りの5曲は普通の音楽として楽しめる。
当時のレニー・トリスターノと、その教え子たちの目指していた音楽のあり方というのが手にとるようにわかる。

ソロをとるのは、レニー・トリスターノ、リー・コニッツ (Lee Konitz) 、ウォーン・マーシュ (Warne Marsh) 、ビリー・バウアー (Billy Bauer) の4人。
トリスターノの門下生であったコニッツも、マーシュも、バウアーも、師匠のフレーズを出しまくり … というより、トリスターノのそっくりさんが3人いるという感じ。
つまり、トリスターノが仮にアルトを吹いたら、コニッツのようになるし、テナーを吹いたらマーシュのように、ギターを弾いたらバウアーのように … ということ。

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Lee Konitz / Motion
Lee Konitz with Warne Marsh
スーパーの店内で聞こえてきたWarne Marsh

「クール」というのは、ビーバップと対比されることが多いけど、今の時代に聴いてみると、クールもバップも根本的には大差ないような気もする。雰囲気の違い ― バップは熱気あふれる音楽、クールは感情をあえて隠す音楽 ― は明瞭なんだけど。

で、調べてみると、トリスターノ、コニッツ、マーシュ、バウアーの4名全員が揃い踏みするレコードというのは非常に珍しい。このことは、彼らの音楽が評論家の絶賛とは裏腹にクラブでの集客力に乏しかったことを意味するとも言え、ジャズにおける理想と現実の問題を考えさせられてしまう。

何度も言うけど、このレコード ― CD化されているでしょう、たぶん ― は、気軽に聴いてもいい。たとえ一部のインテリ層を中心とした人たちからの支持だけを得ていたとしても、ものすごくワクワクする演奏であることはまちがいない。

熱狂する大観衆の前で当時のレニー・トリスターノのコンボが演奏した、貴重な記録がある。

Lennie Tristano Quintet Live in Toronto 1952 (Jazz Records)
recorded at United Jewish People's Order, Toronto, 1952




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こんにちは。
トリスターノの網羅的なページってありそうでありませんね。Crosscurrentsはいいですね。
クールジャズで初めて虜になったのがコニッツのsubconscious leeだったので、他のクールジャズが緩く聴こえて今も聞けないくらい好きです。
subconscious⇔crosscurrents⇔ezzthetic(Miles)
のループで、JAZZ探求が止んでしまっています。
2008/02/11(月) 22:16:10 | URL | RYO #-[edit]
はじめまして、RYOさん。
プレステのEzz-Theticもいいですね、ちょっとクールすぎますけど。
でも、jazz探求がそこでとまっちゃあいかんでしょうw
たまにはHotなものも聴いてバランスとらないと。
2008/02/12(火) 16:19:22 | URL | ArtSalt(管理人) #F2azxpp2[edit]
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