ポール・デズモンド(Paul Desmond)は1977年に癌で亡くなってるから、この演奏は死の2年前をとらえた映像ということになる。演奏している曲は Emily。
YouTubeでデズモンドの映像をいくつか見かけるけど、これがもっとも秀逸。晩年の彼はこういう音色を愛していたんだなぁ。当時ははっきり言ってセミリタイア状態で、残されたレコードは多くないから、この時期の映像は貴重だと思う。
今日にいたるまで多くの音楽家にとりあげられているこの曲の印税は現在どこに行っているか?
彼と長年バンド活動を共にしてきたデイブ・ブルーベック (Dave Brubeck)の話によると、デズモンドは Take Five の印税を赤十字にポーンと寄付してしまったんだとか。
この話は、昔読んだ米版 Down Beat で知ったんだけど、 "the world's slowest alto player" と自ら名乗っていたデズモンドにふさわしい逸話だと思った。
ポール・デズモンドは決してめぐまれた生活をしていたわけではなかったようで、結婚暦は1度あるものの、晩年は家族もなく一人でアパートメントで暮らし、肺癌にむしばまれた体を癒していた。
1977年5月のある朝、息絶えていた彼を最初に発見したのは、雇われていたお手伝いさんだったという。彼らしい最期だったと言えるかもしれない。
実を言うと、この映像は以前にもYouTubeで見たことがあって、数カ月後に削除されている。著作権法上の問題かな。おそらくこれもじきに消えるでしょう。