「#1と同じ意味になるように#2から#4までの空欄を埋めなさい」という愚かな問題集を受験英語のWebサイトでよく見かける。上4つの文章の意味は確かに似たようなものだけれど、同じ意味ではない。どう違うのかは私には実感できないけど。
受験英語で飯を喰ってる人たちには大人の事情があるだろうから、これ以上は言わない。
法律や規則の文章では多用されるらしいけど、Oxfordの辞書で "becoming old-fashioned" とか "old-fashioned or formal" と宣告されてしまった助動詞 shall...
shall には "should" という過去形がある。can, will, may であれば、could, would, might。でも must, ought の過去形は今のところ存在しない。なんで?
must (v.)
O.E. moste, pt. of motan "have to, be able to," from P.Gmc. *motanan "to fix, allot, appoint, to have room, to be able" (cf. O.Fris. mota, M.L.G. moten, Du. moeten, Ger. müssen "to be obliged to," Goth. gamotan "to have room to, to be able to"), from PIE base *med- "to measure." Used as present tense from c.1300, from the custom of using past subjunctive as a moderate or polite form of the present. The noun meaning "something that has to be seen or experienced" is from 1892.
【Online Etymology Dictionary - must】
ようするにだ、must ってのはもともと motan という動詞(または助動詞)【後注】の過去形なんだわ。それが14世紀から現在形の文章で使われるようになり、原形 motan のほうは徐々に使われなくなって、今や(21世紀)完全に消滅してしまい、mustという過去形だけが生き残ったということ。
もともと過去形であった must に過去形を新たにつくる、なんていうことはイギリス人もアメリカ人もやらなかった。面倒くさいと思ったのか、「過去形の過去形」という非論理性に耐えられなかったのか。これと同様の出来事は ought についても起きた。
歴史は繰り返す。今日では shall が、頻繁に使われている過去形 "should" を残して博物館送りにされようとしている。
will, can など、「法助動詞」(modal auxiliary) と呼ばれているものは古英語では動詞として使われていた。
現代英語の "I can swim" を「canは動詞、swimは原形不定詞 (bare infinitive) である」と解釈する学者もいる。自分としては共感するけど、ここでは詳述を避ける。
だから助動詞を過去形にすると、婉曲な物言い、まわりくどい表現になる。
"Will you send me an Email?" よりも "Would you send me an Email?" のほうが丁寧な雰囲気になるのも、「"may" よりも "might" のほうが実現可能性の低さを暗示する」と言われるのも、そういう理由がある。過去のことについて語るわけじゃないのにね。
「過去形」という用語を廃止したほうがいいんじゃないか、とさえ私は思ったりするんだけど、英語学習サイトや匿名掲示板でこういう話題をふるとたいてい炎上するので、突っ込んだ議論は別の人にゆずる。
助動詞の原形が消滅しやすいのはなぜなんだろう。shall が過去形 should を残して死に絶えつつあるのは、
という事情によるものだと思う。
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