ArtSaltのサイドストーリー

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be VERB-ing が未来をほのめかす理由

以前に「willbe going to はどう違う?」というエントリを書いたんだけど、「そもそも "be going to" という形はなんで未来表現が可能なんだ?」という根本的な問題にふれずじまいだった。最近やっとその謎が解けて、自分なりに体系化できた。

「進行形」ということばの危うさ

英語の「進行形」と呼ばれている表現。"The prime is talking with foreign leaders now" のような例は私たち日本人でも容易に意味をつかめる。しかし移動を意味する動詞 (go, come, run, leave, start, arrive and so on) の場合は少し厄介。

たとえば "The train is starting" という例。解釈は#1から#5までありうる。

  1. 列車が走り出すのは1時間後。
  2. ドアが開いて乗客が乗り降りしている場面。
  3. 発車を知らせるブザーが鳴っている場面。
  4. ドアが閉まったばかりの場面。
  5. 既に列車は発進して数メートル動き出している。

ここで声を大にして言いたいのは、「進行形には、進行、一時的な継続行為、未来など、いろんな意味がある」っていうふうに分類することの愚かさ。そうではない。意味はひとつしかない。上記#1から#5までの幅広い事態をひと括り(ひとくくり)にしたものが "be VERB-ing" という形の豊かな意味なんだ。

現在分詞はかつて動名詞だったんだから、両者の区別なんて気にするな

ここで話は少しずれる。

進行形のbeは助動詞ですか? by ArtSalt - Journal - iKnow!
一般的には「"I'm getting sentimental over you" の getting は現在分詞、"Getting married is terribly fun!" の Geting は動名詞」と言われている。しかし「現在分詞」と称されるものはかつて動名詞だった。
おおざっぱに言うと、現代英語以前では進行形は "be VERB-ing" ではなく "be on VERB-ing" という形をとっていて、のちに on が離脱する。つまり進行形には動名詞が使われていた。だから現在分詞と動名詞は区別する必要がないんじゃないかな。

"be on VERB-ing" は on の意味(「接触」→「何かに携わっている」)をうまく利用した表現であったのだろうと思う。

VERB-ing の意味は原形との綱引きで決まる

話をもとに戻す。

VERB-ing の生き生きとした姿は原形と比較するとはっきり見えてくる。たとえば "My dad runs a software company" という、動詞の原形【後注】を使った表現は現在、過去、未来を問わない。「父は昨日も会社を経営してたし、今日も経営してるし、明日も経営してるだろうね」。

【後注】 — 3人称の場合、うしろに s をくっつけりするけど、話をわかりやすくするためにそういうのも含めて「原形」と呼ぶことにする。

動詞の原形は現在も過去も未来も関係ないんだよ、っていうわけで、そこからある種の「静的な一般論」の雰囲気がただよう。可変的な具体性ではなく不変的な抽象性であると言ってもよい。

他方、VERB-ing には具体性、生々しさ、動きが感じられる。これこそが原形との決定的な違い。

  • She likes to learn a new language.
    「言語を学ぶ」という行為に抽象的、一般論的な雰囲気がある。
  • She likes learning a new language.
    「言語を学ぶ」という行為に具体的な生き生きとした雰囲気がある。
  • She enjoys learning a new language.
    enjoyのうしろにto不定詞が来ても文法上は問題ない。しかしそれは極めて稀であって、普通は動名詞が使われる。その理由は説明するまでもない。
  • To be, or not to be, that is the question.
    生きるべきか、死ぬべきか。"to be" を "being" に変えちゃうと、厳かな雰囲気が失われる。これも説明不要。

状態動詞に ing をつけると、「安定性」が「動的に変化するもの」に化ける

状態動詞の話。have, live, belong, know などに感じる「状態」というのは「昨日も今日も明日もこういう状態である」という安定性であり、動きが感じられない。そこに ing をくっつけると、「安定性」が「動的に変化するもの」に変身する。

安定しているはずのものが「動的に変化するもの」に化けちゃうわけから、状態動詞の進行形には「かりそめの姿」「一時的な現象」という雰囲気が多分に漂う。"I'm having a trouble findng a job" (オイラは現在失業中だけど、これはあくまでも一時的であって、そのうち本来の状態に戻るんだからね!)というふうに。

ついでに言うと、動作動詞の進行形でも「かりそめの姿」「一時的な現象」という雰囲気をつくれる。

She's working every day.
"She works every day" との違いは何かと言うと、「最近は毎日仕事してるけど、来月になったらわかんないよ」っていうこと。

「生々しさ」「動き」→「差し迫った未来」「差し迫った事態」

be VERB-ing が未来をほのめかす理由
Joni's family is watching the soccer game next Saturday.
「サッカーを観戦する」という光景が生々しく感じられる。既に入場券の手配とか応援グッズの準備ができている感じ。
Joni's family is going to watch the soccer game next Saturday.
「サッカーを観戦する」という行為に向かう光景が生々しく感じられる。入場券の手配とか応援グッズの準備ができている感じはあまりしない。

上記例文で言えば "next Saturday" が未来を示すという事情もあるけど、それにしてもなぜ "be VERB-ing" という表現は未来を暗示することが可能なのか。これは前述した VERB-ing の「生々しさ」「動き」という意味が「差し迫った感覚」をつくるからだ。この感覚が未来を示唆する。

"be VERB-ing" と "be going to VERB" の比較

"be VERB-ing" と違って "be going to VERB" という形には going (「向かう」という意味)が1個余計にくっついてる。ようするに "watch the soccer game" の状態に向かっているっていうこと。生々しいのは watching ではなく1歩手前の going のほう。だから入場券とか応援グッズの準備ができている感じは薄いわけだ。

willとの比較

"be VERB-ing" の「差し迫った感覚」は「既に確定していること」という雰囲気をつくる。助動詞 will を使った未来表現「語り手の意思表明または予測」との決定的違いがこれだ。

生々しい光景、差し迫った状況を思い浮かべることができれば、進行形はマスターしたも同然

前述の主な例文と過去進行形 (#8) と未来進行形 (#9) をならべて比較してみる。

  1. The prime is talking with foreign leaders now.
  2. The train is starting.
  3. I'm getting sentimental over you.
  4. I'm having a trouble findng a job.
  5. She's working every day.
  6. Joni's family is watching the soccer game next Saturday.
  7. Joni's family is going to watch the soccer game next Saturday.
  8. The patient was dying of cancer.
  9. It'll be raining tomorrow.

ようするに過去だろうが現在だろうが未来だろうが一時的だろうが、「何かが生き生きと動いている」という感覚はすべてに共通する。

結論

  • "be VERB-ing" を「進行」「未来」「一時性」などと分類してはいけない。文脈によって印象が変化するだけなんだから。
  • VERB-ing の意味は「動き」と言ってもいいし、「生々しさ」と言ってもいい。「動詞を名詞化したものが動名詞です」というあまりにも安易な説明を信じていたのでは、"I like skiing" と "I like to ski" と "I like ski" の使い分けなんて未来永劫できまい。
  • 動名詞、現在分詞、現在時制、現在形、現在進行形、未来表現、未来進行形、動詞的動名詞、名詞的動名詞、叙実名詞化形、行為名詞化形…なんていう用語はもううんざり。ネイティブがそんなもん意識して会話してるわけないでしょ。彼らにとって VERB-ingVERB-ing なんだよ。動名詞と現在分詞の区別が不毛であることは英語史を知ればわかる。

そのほか

  • 「進行形」は未来をほのめかすことがあるんだから、この「進行形」という用語はえらいまぎらわしい。じゃあ、どう呼べばいいのかと訊かれても困りますけど。
  • 進行形は VERB-ing とともに動詞 be が必須。なぜ他の動詞ではなく be なんだ? という新たな疑問がわいてきたけど、これは後日考えてみる。
  • "I'm lovin' it" なんて言ってるのは日本のマクドナルドだけだろうと思ってたら、初めて見かけたよ、ネイティブが "Loving it!" って言ってるのを。
  • 語り手の強い意思を示す助動詞 will が未来を示唆することができる理由については別のエントリ「willはヒトの意思か神の意思か」を参照。
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