ArtSaltのサイドストーリー

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Me thinks it's grammatical

methinks という古めかしい語彙

シェークスピア (William Shakespeare) の戯曲「真夏の夜の夢」(A Midsummer Night's Dream) の1節。

Another moon: but, oh, methinks, how slow
This moon wanes! she lingers my desires,
Like to a step-dame, or a dowager
Long withering out a young man's revenue.

The Comedy of A Midsummer Night's Dream - Google Book Search - 西暦1600年版】

16世紀の英語だから見慣れない語彙がそこかしこにある。上記引用で言えば methinks など。これはもちろん "me thinks" を縮めたもので、"I think" という意味。I じゃなくて me。1人称なのに think のうしろに s をくっつける。奇妙奇天烈な語彙。

代名詞の屈折にはイギリス内で地域偏差があるし、今日の標準的な屈折が決まるまで紆余曲折があった。me は今日では目的格としてしか使えないけど、これを主格として使う地域もあった。だから "I think" と言うかわりに "me think" と言ってもよかったわけだ。

非人称の it が消滅したので文法が見えにくくなった

しかし事態はもう少し複雑なんだ。Juken Engrish やTOEICの専門家の多くはこういう問題を「単なる方言またはスラング」の一言で済ませてしまっているようなので、オイラがここで簡単に説明しておく。

  • It thinks to me he is ill.

ここから非人称の it が省略され、語順が変わり、

  • Methinks he is ill.

になったとするのが英語史の通説。確かにこの理屈なら動詞の末尾に不自然な s がくっつく理由も説明できる。

as you please って、不思議な英語だよなぁ」という素朴な疑問を持った中学生時代

methinks なんて今じゃ教会の中とか韻文ぐらいでしか使わないと思う。しかしこれと全く同じ種類の古臭い表現は今もなお現役として生き残っている。

中学生だったころ、"if you please" とか "as you please" という表現を知ってオイラは不思議に思ったものだよ。なんでかっていうと、please って「喜ばせる」という意味の他動詞でしょ? だとすると、"if you please" とか "as you please" っていう表現は明らかに変。主客転倒してる。

「慣用句だから難しく考えるな」というおバカな意見は論外だけど、「この please は『喜ぶ』という意味の自動詞である」という苦しまぎれの説明をする辞書もある。

しかし事実は意外と論理的なのであった。"if you please", "as you please" はかつてそれぞれ以下の形をとっていた。

  • if it please you
  • as it please you

ここから非人称の主語 it が消え、語順が変わり、"if you please", "as you please" になったという説が有力。つまり you は主語ではなく目的語なのだ。

スコットランドの方言に傍証がある。下記の例文はいずれも "If you please" の意で、#2に注目。anif の意。

  1. An thou likest.
  2. An it please ye.
  3. An thou wult.
  4. An ye wult.
Elizabethan for Scots Dialect.PDF - Ellyn Parker-Neal

参考

  • 鈴木寛次著「発想転換の英文法」(丸善ライブラリー)
Google
WWW ArtSaltのサイドストーリー
>しかし事実は意外と論理的なのであった。"if you please", "as you please" はかつてそれぞれ以下の形をとっていた。
> if it please you
> as it please you

記事前半のmethinks と違い、s がついていないのが不思議に見えます

(解説されても全く理解できないのですが、とりあえずコメント。)
2009/02/11(水) 17:57:08 | URL | itochan #-[edit]
この件はものすごく難しい話になるのでスルーしていただきたかったのですが(汗)

ご存じのとおり、英語には直説法、命令法、仮定法という3つの法があります。さらに仮定法は以下の3つに分けられます。

1. 過去の事実ではないことに言及する仮定法過去完了
2. 現在の事実ではないことに言及する仮定法過去
3. 現在過去未来を問わず、事実ではないことに言及する仮定法現在 - If it please you...

#3の仮定法現在は今日では
I suggested she help him.
のような形が有名です。「これは should が省略された形だ」というよくある説明はうさん臭いらしいですね。
「十日日記 - 仮定法現在」
http://www.10days.org/diary/20040125.html

仮定法現在 - 古い形。動詞は原形。
a) If it rain tomorrow, things aren't getting bettter.
(仮に雨だったらうまくいかないであろう)

直説法現在 - 今日一般的な形。動詞に s がつく。
b) If it rains tomorrow, things aren't getting bettter.
(雨が降るという条件下ではうまくいかない)

厳密に言えば (a) と (b) の意味は違いますけど、ほとんど同じものとして認識されるようになったということかもしれません。

古くさい表現を使ってる稀有な例
"If It Please the Court - washingtonpost.com"
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/08/21/AR2008082102367.html
2009/02/11(水) 22:28:16 | URL | ArtSalt(管理人) #zPtyhiW6[edit]
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